基礎からのGVP【第10回】

2021/11/19 その他

データベースシステムについて文書化の必要性について。

情報の集積I

はじめに
安全性情報の評価の章で、個々の情報を精査し評価するとともに、集積された情報についても個々の副作用についての集積状況並びにその発生傾向についても評価する必要があると述べたところである。そのためには、その集積情報は適切な方法で処理された一定レベルの信頼性を確保されたものでなければならない。GVP省令においては、特段規定されたものではないが、情報の信頼性確保の面から、その情報整備方法について、製造販売業業許可更新時の順守状況調査や、再審査申請後の信頼性調査において、必ず確認される。そのため情報の処理基準や構築するデータベースシステムについて文書化(手順書でなく、逐次的な改定が可能な細則やマニュアル等)しておく必要がある。

1.データベース選択上の留意点
(1)概要
安全性情報を的確に評価するためには、類似副作用(有害事象等)がこれまでに報告されているか、それがどのように発生しているかを確認することは必須である。また、副作用収集状況や症例報告等の業務進捗管理においても整理された情報集積が不可欠である。ただし、その方法は集積される予測量に応じたデータベース化を検討する必要がある。
(2)システム
総合システムとしては、
・副作用情報の集積
・副作用報告等の進捗管理
・副作用報告電子化システム
・副作用電送システム
の機能を一部装備したもの、完全に装備したものがあり、大量な副作用情報を取扱う企業においては有効な手段として活用されている。しかしながら、システムが大規模になりがちで、そのメンテナンスとバリデーションのための業務も必要となっており、取扱いの手順書等も整備し、組織的に均一な処理がおこなえることが必須である。なんといっても導入、運用、メンテナンスと初期導入費用数千万、年間運用費1、2千万の費用が必要である。
(3)簡易リスト
エクセル等の簡易リストにより、それぞれの業務を個別に管理するのに使用されているが、システムとしての信頼性が脆弱であること、総合システムでないことからそれぞれのリスト間での整合性をはかる必要があり、情報の齟齬が生じないよう確認しながら処理することが必須であり、大量情報の処理には難がある。ただし、仕様変更等が容易にでき、且つ費用が殆どかからない利点がある。

4ページ中 1ページ目

執筆者について

草間 承吉

経歴 医薬品、医療機器、医薬部外品等の開発から製造販売後までの安全確保業務を黎明期から30年以上にわたり幅広く経験・管理・監督してきた。この間、業界活動においては製薬協PMS部会や東薬工医薬品安全性研究会、日薬連安全性委員会等でDSUやPMS担当者研修講座の設立等にも関与した。これらの経験を生かし15年前にPMSフォーラムを設立し、製薬企業等からの業務相談に対応しながら、指導・教育に努めている。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

23件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年7月2日(水)10:30-16:30~7月3日(木)10:30-16:30

門外漢のためのコンピュータ化システムバリデーション

2025年8月21日(木)10:30-16:30

GMP教育訓練担当者(トレーナー)の育成

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます