業界雑感 【2021年8月】

 6月の業界雑感で少し触れたコロナウィルスワクチンの品質問題がいきなり報道された。新型コロナウイルス第5派が猛威を振るっており、デルタ株以前はあまり問題にしていなかったワクチン接種対象外の12歳未満への感染が拡大し、夏休みの延長論まで議論になっていたり、妊婦へのワクチン接種の是非が話題になっていたりしている中なので、ニュースとしてのインパクトも大きいのだろう。
 現時点までで報道されている内容を整理すると  【 】は8/29時点の感想

  1. 8月16日集団接種会場の薬剤師が目視による事前チェックでバイアルの中に黒い粒子状の異物を発見した。20日にも15本で同様の黒色異物が確認された。
  2. 異物は黒色異物で磁石に反応するので金属片らしい。
  3. 他の接種会場でも同ロットで同様の異物混入が複数発見されており、現時点で計39本となっている。【発見本数がかたまっており、このロット特有のトラブルだったような気がする】
  4. 当局は当面の対処しとて異物混入が見つかったロット3004667と、同時期に同じラインで製造された別の2つのロットの計163万回分の使用を見合わすこととした。【どれだけの製造ラインがありどういう製造番号管理がされているのだろうか、検定合格情報では製造番号の規則性がわからないので、『時期に同じラインで製造された』は信用するしかないのか?】
  5. 当該ロットのうち数十万回分はすでに接種済みで、大きな健康被害等は発生していない。
  6. ワクチンはモデルナ製で、モデルナ社と委託契約を結んでいるスペインのロビ社がマドリードの2つの工場でスイス企業が製造した原料の原液の充填・包装工程を行っている。【米国に納入するワクチンは担当していないらしいが理由はわからない。スペインロビ社の工場がFDAの認証を持っていないとかかもしれない】
  7. ロビ社は異物が見つかったロットは日本のみに納入。製造ラインの一つが原因だった可能性があるとして、調査に協力すると表明。【最初に異物が発見されたのが8月16日、10日経過した26日時点で未だ何もわかっていない同然のコメントは遅すぎないか】
  8. 因果関係は不明だが、異物が混入したワクチンと同時期に同じ設備で製造された製品において接種後に2件の死亡事故が報告された。【こういう報道は事実だとしても、いたずらに不安を煽ることにならないか】
  9. 対象ロットの代替品は26日から順次代替品の供給を検討している。【3004667の回収は致し方ないとしても、他の2ロット(3004734・3004956)の使用は問題ないのではないか、逆に問題があるとすればさらに他のロットに問題は拡がってしまう】
  10. 今回使用見合わせとなったロット以外でも異物が見つかっているとの報道も出始めている。【今回報道で接種前検査がより注意深くされるようになると、他のロットやファイザー、アストラゼネカのワクチンでも同様の異物が見つかってくる可能性がある】
     

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます