空調エンジニアが空調エンジニア以外の人に空調を語る必須事項とは【第1回】

1.絶対湿度(kg/kg’) ※湿度って(%)じゃないの? 
東京・横浜の夏は「高温多湿」、冬は「乾燥」、ってどういう事?
下表は「気象庁 過去の気象データ」2020年横浜のデータです。

2月の平均湿度(%)が一番低いですが、それでも54%です。これって「乾燥」している印象ですか?「乾燥」って30%以下ってイメージじゃないですか?
各月の平均温度(℃)と平均湿度(%)から絶対湿度(kg/kg’)を計算してみます。さらに絶対湿度(kg/kg’)が最大の8月の値を1として各月の絶対湿度(kg/kg’)比率を計算してみます。

絶対湿度(kg/kg’)とは何か、をご存じない方は数値の意味が分かりませんよね。
絶対湿度(kg/kg’)の説明の前に、湿度(%)とは何の数値かを説明できますでしょうか?
湿度(%)は正確には相対湿度(%)と言います。相対で(%)ということは、何かの比率ですね。比率なら分子/分母はそれぞれ何でしょうか?
実は、分子/分母 共に絶対湿度(kg/kg’)なんです。ですから絶対湿度(kg/kg’)を語らずに相対湿度(%)を語れないんです。そして、空調エンジニアにとって「湿度」とは絶対湿度(kg/kg’)なんです。
そろそろ絶対湿度(kg/kg’)とは、を説明しましょう。
分子のkgは「水蒸気」の質量です。分母のkg’は水蒸気を含まない「乾き空気」の質量です。
つまり、絶対湿度(kg/kg’)とは、1kgの空気の中に何kgの水蒸気が含まれているか、を示したものです。※定義上の「乾き空気」と、実際計算上の水蒸気を含む「湿り空気」の微小差は無視します。
ここで絶対湿度を知っておられた方のなかには、(kg/kg’)ではなくて(g/㎥)じゃなかったっけ、と思われた方もいらっしゃるでしょう。空気の質量(kg’)を体積に換算しただけの違いですので、ここでは空調業界で一般的に使用している(kg/kg’)で話を進めさせてください。
8月の平均気温=29.1℃の時、相対湿度100%の絶対湿度は0.02578kg/kg’、
8月の平均気温=29.1℃の時、絶対湿度が0.01914kg/kg’なら、
0.01914/0.02578=0.7424≒75%→上表と一致します。
2月の平均気温= 8.9℃の時、相対湿度100%の絶対湿度は0.00708kg/kg’、
2月の平均気温= 8.9℃の時、絶対湿度が0.00380kg/kg’なら、
0.00380/0.00708=0.5367≒54%→上表と一致します。
2月の絶対湿度0.00380kg/kg’は8月の絶対湿度0.01914kg/kg’の実に1/5であることが分かります。これで冬の空気は「乾燥」の意味が分かりましたね。相対湿度(%)ではこれが分からないんです。
相対湿度100%とは、その温度に於いて、これ以上空気の中に水蒸気を含むことが出来ない状態で、冷たいコップの表面や冬の窓などで結露が起きている時、それらの表面に接している空気は相対湿度100%となっていて、含み切れない水蒸気が液体の水に変わっているのです。相対湿度100%の時の水蒸気量を飽和水蒸気量と言います。
さて、お気づきでしょうか、
29.1℃ 100%の時の絶対湿度0.02578kg/kg’ (29.1℃の飽和水蒸気量)
 8.9℃ 100%の時の絶対湿度0.00380kg/kg’ ( 8.9℃の飽和水蒸気量) です。
そうです、同じ相対湿度100%でも、温度が違うと絶対湿度(飽和水蒸気量)が違うのです。
相対湿度(%)は、分子(絶対湿度)だけでなく、分母(飽和水蒸気量)も温度によって変化してしまうんです。
ここで難しいのは、相対湿度100%の時の絶対湿度(kg/kg’)は、温度との相関関係が直線的ではないことです。以前は相対湿度が曲線を描く「湿り空気線図」という図表を読んでいたのですが、今ではパソコンやスマホで数値を出すことが出来るようになっています。
 

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