医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第5章-2】

2021/03/26 施設・設備・エンジニアリング

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

調達・契約
2)プレゼン、インタビュー、見積評価
見積説明会実施後、引合仕様書をベースに建設会社、エンジニアリング会社はレイアウトや専門技術、実績、工程などの検討を行い、提案書として纏めあげる。またその提案内容に基づき、見積積算を行い、提案書と見積書、見積仕様書をセットにして発注者へ提出する。

●プレゼンテーション、インタビュー(質疑)
提出された提案書、見積書、見積仕様書の内容について建設会社、エンジニアリング会社より説明を受けるために、通常はプレゼンテーションを各社に実施させる。
プレゼンテーション時間は、プロジェクト規模、提案内容のボリューム、引合先数によって適切な時間を設定するが、質疑も含めて1時間~1時間半程度が一般的である。
プレゼンテーション内容に関しては、事前に見積要綱書に具体的に記載しておくことにより、各社の説明内容にばらつきが少なくなり、評価が行いやすくなる。
プレゼンテーション後に質疑応答の時間を設定し、各社の提案内容やプレゼンテーション内容に対しての質疑を行い、技術内容や見積内容が妥当であるかの確認を行う。
質疑内容に関しては、プレゼンテーション前に各社の提案書・見積書を精査し、事前に質疑内容をリスト化して、社内のプレゼンテーション出席者(評価者)に配布しておくことにより、抜け無く確認することが可能となる。

●技術評価
技術評価は大きく以下の評価ポイントに基づいて行う。
・URB要求事項への対応
 引合図書として提示したURBに記載されている要求事項が、提案に適切に盛り込
 まれているかを確認、評価する。
・技術力
 URB内に記載した検討依頼項目に対する提案など、各社が提案する内容を
 「新規性」、「実現性」、「コストパフォーマンス」などを評価軸として、
 技術力を評価する。
・実績(業務遂行力)
 提案書に添付される実績表、担当者経歴書や業務遂行に関わる提案内容などによ
 り各社の実績を評価し、当該案件に対する業務遂行力を評価する。
・VE提案
 VE提案シートを確認し、URBなどで要求する機能および性能を低下させずに、
 効率的にコストダウンを実現できるVE案を提案されているかを評価する。

技術評価は定量的に評価できるように、事前に各項目において評価指標(評価点数)を設けることが重要である。

 

 

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執筆者について

須賀 康之

経歴 株式会社シーエムプラス プロジェクトマネージャー。認定コンストラクション・マネージャー。ISPE EM COPリーダー。 2000年大手製薬会社入社。生産技術研究所にて製剤機械設計や設備導入を経験後、2005年大手建設会社に転職し、医薬プロジェクト事業部にて固形製剤・無菌製剤プロジェクトの設計責任者・EM・VM・PMを担当。大手建設会社在籍中に1年間米国エンジニアリング会社に留学。 2019年株式会社シーエムプラスに入社後、中分子原薬、ワクチン、医療機器、食品、化粧品、固形製剤などのプロジェクトにおいてプロジェクトマネージャー・エンジニアリングマネージャーを担当。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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