オーナーのプロジェクトマネジメント【第8回】

2016/03/17 施設・設備・エンジニアリング

星野 隆

今回は、引き続き基本計画ステージについて記載していく。

 
参考 以前に記載した記事の目次
1.  はじめに
2.  プロジェクトステージの概要
3.  何をマネジメントするか
4.  プロジェクト計画に関連する主要な問題点
5.  プロジェクトマネジャーの役割と責務
6.  プロジェクトマネジャーの資質
7.  プロジェクトで使用することば
8.  外部への依頼範囲
9.  FS(Feasibility Study)ステージ【その1】
10. FS(Feasibility Study)ステージ【その2】
11. 基本計画(概念設計)ステージ【その1】


 
12. 基本計画(概念設計)ステージ【その2】
 (3) スケジューリング
 基本計画ステージでは、主要機器の納期等の調査も行い、プロジェクト全体の規模や建築規模も、ある程度把握できる状況になっている。また、GMPについてもGMP Statementが作成され、Validation/Qualification(昨今ではVerificationとして実施する場合もある)のコンセプトも決定され、その方式もほぼ確定している状況にある。したがって、全体工程のマイルストーンやクリティカルパスも把握でき、詳細なアクティビティは別としても、基本全体工程表が作成される。設計期間、工事期間、機器納期などはエンジ会社や機器メーカーから、ほぼ確かな情報は得られるが、コミッショニング、クオリフィケーション、バリデーションというものは、その方式によってスケジュールに大きな違いが発生する。基本計画時点でコミッショニング、クオリフィケーション、バリデーションの詰めが不十分なことが多いので、特に留意が必要である。
 このステージで作成された基本工程表の総合期間の決定は、事業化計画の根幹となり、今後この期間を延長することはほぼ不可能と考えられる。それだけに、基本計画ステージで作成された総合期間の決定はいかに重要なものといえるかが分かるだろう。むしろ、製薬会社のトップからは更に工期を短縮できないのかというニーズが出てくるのが通常である。要はできる限り事業のGo/No Goの判断を遅らせたいということである。特に、新製品においての販売予測は困難であり、プラント規模の決定時期をぎりぎりまで遅らせたいという思いがある。

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執筆者について

星野 隆

経歴 1971年3月大阪大学工学部機械学科卒業後、同年4月武田薬品工業(株)に入社。2014年3月の同社退社までの間、同社および同社の関連会社における建設工事において、プロジェクト業務に携わった。プロジェクトの種類としては、医薬品、ビタミンバルク、調味料バルク、化学品、農薬等の生産施設をはじめ、研究所の建設にも携わった。また、国内外のプロジェクトや、他社との共同プロジェクトにも参画した。また、メンテナンスやユーティリティ部門のマネジャーの経験もあり、総合的なエンジニアである。
社外の活動としては、ISPE(国際製薬技術協会 : International Society for Pharmaceutical Engineering)の日本本部理事、常任理事を歴任。日本プロジェクトマネジメント協会理事。
現在は、個人コンサルタントStar Enterprise(プロジェクトマネジメント、エンジニアリング、イベント企画)。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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