後悔しない設備投資のための経済性評価【第2回】

1. はじめに
 第1回では、投資の経済性評価[1, 2]について、その目的と基本的な考えを述べた。今回は経済性評価手法の解説を行う。
 通常利用される経済性評価指標には、次のものがある。今回は、主にこれらの指標の算出方法について述べていく。これら指標に共通しているのは、第1回で説明をした実際の資金の入出金、すなわちキャッシュフローをベースにしている点である。以下に示す評価指標は、キャッシュフローをそれぞれ異なる視点から評価している。

(1) 投資回収期間(PP:Payback Period, Payout Period)
(2) 純現在価値(NPV:Net Present Value)
(3) 内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)
 
2. 経済性評価指標の算出方法
2.1 投資回収期間法
 投資回収期間(PP)とは、投資した資金を回収するまでに要する期間である。計算が簡単なこともあり、国内ではよく使われている。投資回収期間の一般的な算出式は、次式が成り立つiを決める式で表すことができる。
 

 ただし、CFnは、n期のキャッシュフローを現す。この式は、0期から順にキャッシュフローを加え、値が0になる期iを求めることを意味している。通常の投資案件では、初期に投資を行い、その後、投資による利益が出て投資資金が回収される。すなわち、初期のキャッシュフローは負の値であり、徐々にキャッシュフローが正の値になる。そのため、収益性のある投資であれば、式を満足するiが存在すると考えられる。なお算出式からもわかるように、投資回収期間の評価では、投資回収期間iが短いほど良い投資案件ということになる。
 表1に、投資回収期間法による経済性評価の例を示す。
 ケース1の例では、初年度に100百万円投資を行い、2年目以降毎年25百万円のキャッシュインが得られることになっている。したがって、投資回収期間は次のように算出できる。

PP = 100(百万円)÷ 25(百万円/年)= 4(年)
 

 この場合、投資資金は4年で回収され、5年目以降はすべて手元に残る資金となる。0期から10期までのキャッシュフロー累計は、150百万円となる。
 次に、ケース2の例を見てみよう。この例では、初年度の投資額100百万については、ケース1と同様であるが、2年目以降のキャッシュインが年により異なっている。累計キャッシュフローを見ていくと、4年目で累計値が0となり、投資回収期間は4年ということになる。このように、投資回収期間法は、キャッシュフローが求まれば、比較的簡単に産出できる。
 また、ここに取り上げた2つのケースから、投資回収期間が同じでも、キャッシュフローの累計値は同じでないことがわかる。すなわち、ケース1,2とも、投資回収期間は4年であるが、キャッシュフローの累計値は150と33百万円と、大きく異なる。
 したがって、投資回収期間は、投下した資金の回収に関心が高い場合に有効であるが、投資の可否を長期間にわたり評価には適さないと言える。長くても3~5年程度で投資の可否を判断したい場合が適すると言えよう。

 

表1 投資回収期間法による経済性評価(百万円)
ケース1 ケース2
キャッシュ
アウト
キャッシュ
イン
キャッシュ
フロー累計
キャッシュ
アウト
キャッシュ
イン
キャッシュ
フロー累計
0 100  -100  100  -100 
1 25  -75  36  -64 
2 25  -50  28  -36 
3 25  -25  21  -15 
4 25  15 
5 25  25  11  11 
6 25  50  19 
7 25  75  24 
8 25  100  27 
9  25  125  30 
10 25  150  33 
投資回収期間 4年  4年 

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