その数字って本当?(ニュースを透かして見てみる)【第4回】

2015/08/26 その他

 今回は、知人とご飯を食べながら出た話題について。特に統計とは直接関係はありませんが、身近な数字の問題として近年よく話題になる話です。
 
 今、農水省では、『FOOD ACTION NIPPON』(http://syokuryo.jp/index.html)として、推進本部を設置し、なんと「国民運動」として自給率向上を目指しています。
そこで謳われているのは、「2013年「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。また日本人の食生活はバラエティに富み、世界一豊かだとも言われています。しかし、日本の食料自給率は減少傾向にあり、カロリーベースで約6割、生産額ベースで3分の1の食料を、それぞれ輸入に頼っています」です。
 
 ここのところの原油の値段が不安定なせいで、それに付随するものの価格が上がったり下がったりしています。その中でも、小麦や大豆の価格上昇に伴い、そのほとんどを輸入に頼っている日本の食料自給率の低さが問題となっています。
 
 前述の『FOOD ACTION NIPPON』でも、「日本の食料自給率は戦後大きく低下の一途を辿り、昭和40年度には73%だった自給率が、平成7年度以降40%以下まで落ち込みました。米や砂糖などを除くほとんどの食料の自給率が昭和40年当時に比べて著しく低下し、その分を輸入に頼っているのが現状です。この数値は、世界の主要先進国の中でも最低水準に値します。」と記述されています。
 
 正式な食料自給率は3種類あり、一般的に用いられる数字はそのうちの「カロリーベース自給率」と言われているものです。では、それぞれの計算方法を見てみましょう。
 
1.カロリーベース自給率(正確にはカロリーベース総合食料自給率)
 食料の重さは、米、野菜、魚等、全て重さが異なります。重さが異なる全ての食料を足し合わせ計算するために、それぞれの食料に含まれるカロリー(熱量)を用いて計算した自給率の値を「カロリーベース総合食料自給率」といいます。
 カロリーベース自給率の場合、畜産物には、それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます。(飼料自給率は、家畜が食べる飼料自体がほとんど輸入に頼っているので、それらの自給率を乗じたものとなります)日本のカロリーベース総合食料自給率は最新値(平成24年度概算値)で39%です。

2.重量ベース自給率
 国内生産量、輸入量など、その食料の重さそのものを用いて計算した自給率の値を「重量ベース自給率」といいます。

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執筆者について

山内 英作

経歴 株式会社メッドチャム代表。
1986年日本オルガノン株式会社入社後、向精神薬、麻酔科用薬剤の臨床開発を担当。1992年よりアラガン株式会社にて、オーファンドラッグの開発および申請を行うとともに、生物統計・DM、CSVのマネジメントを行う。2007年より大学発製薬ベンチャーで眼科用薬剤の開発部長職を従事後、2009年から医薬品と医療機器の開発コンサルタントとして独立。現在、北海道の製薬ベンチャー開発担当役員を兼任。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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