医薬品と化粧品のGMPの比較・異同点

はじめに
 
 前回は医薬品と化粧品の本質について、その異同を明確にすることを試みました。今回は医薬品と化粧品の製造のあり方について、それぞれのGMPを基準にその異同を明確にしてみたいと思います。とはいえ単に製造管理と品質管理の手法に留まるのではなく、GMPの背景などもう少し広い観念も論じてみたいと思います。
 
 
1.GMP生誕50年の「生い立ちの違い」について
 
 医薬品のGMPは、今からちょうど50年の1962年にアメリカで誕生しました。その主な背景には、アメリカ国内で販売される医薬品の安全性を確保し、国民の健康を守ることがあったとされています。その後WHO(世界保健機関)を通じて世界中に広がっていきました。わが国では、1974年に最初のGMPが制定されています。そして薬事法第14条第2項第4号の規定に基づき1979年に省令化されることで、国内で製造される医薬品の品質確保の国家的制度の基盤となってきました。すなわち医薬品GMPはアメリカのFDAで誕生し、日本の薬事法の中で育った規範といえます。
 
 一方、現行の化粧品のGMP1)ですが、2008年に厚生労働省から日本の化粧品GMPは、国際規格であるISO22716である旨が課長通知として発信されています。ISO(国際標準化機構)には多くの専門委員会(technical committee)がありますが、化粧品関連ではTC217と呼ばれる委員会があります。このTC217の構成メンバーは、投票権を持つPメンバー(Participating member)と呼ばれる26ヶ国(英・米・仏・日・アジアやアフリカ諸国など)と、投票権を持たないOメンバー(Observing member)と呼ばれる28ヶ国(伊・独・露・北欧や南米諸国など)の国々から構成されています。そしてISO22716は、この委員会の中のWG6(第6ワーキンググループ)において、品質マネジメントシステムであるISO9001をベースにして検討され、2007年に化粧品業界向けに特化した国際規格として制定されるに至りました。ISO9001がイギリスの国家基準を参考にしていることから、ISO22716もその影響を受けています。すなわち化粧品GMPはイギリスで誕生し、ISOで育った規範といえます。なお旧化粧品GMPは日本独自のGMPであったことを付け加えておきます。
 
 以上のように日本の薬事法の一部としてアメリカ生まれのGMPを法定化した医薬品と国際規格のISOの化粧品版をそのまま日本のGMPとした化粧品とは、同じGMPという名称を使いながらも、その生い立ちが異なっているという背景があります。

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