Prof. Jane DoeのGood Practices講座【第3講義】


第3講義:GMP省令解説(!?)・第7条~第9条
 
Jane Doe教授のGood Practices講座です。品質関係のGood PracticesのためにGQP・GMP・GDPそしてPQSを学びたい方のための講座です。本講座、真剣に読んで頂くと、そのうちなんとなく役に立ったといった不思議な効果をもたらすかも(?)しれません。今回はその第3回目の講義です。

なお、文中には一部不適切な表現もありますが、分かり易さ並びに現実的な雰囲気を優先して表現しているということでご理解ください。
 
---------------------------- JD教授の授業開始でーす!----------------------------
 
教授:はーい、前回・前々回に続いて本邦の「改正GMP省令」の話だよ。「GMPがよく分からない」という方のために、公的に正しいかどうかは別として、こういう風にも読み取れるよねー、とした話をホンネで言うからね。
教授:正式な改正案、いつ出るのかねー。改正ポイントについては、講演や雑誌なんかで見かけるけど、全容をオープンにして貰わないと実感として分からないよねー。まして、今回は2005年以来の結構大きな改正で、施行通知も改正するのよねー。 ポイントだけで、「これでやってね!」って言われても、不満が募っちゃうわね。行政としてどういうつもりなのかしら。マジメに一生懸命に対応しようとする企業ほどヤキモキしちゃうね。仕方ないから、現行GMP省令を引っ張り出し、横に並べて読んでね。何も無いよりは理解が深まるからね。
 
第7条    製造部門及び品質部門
教授:「製造部門」と「品質部門」の2つを置きなさいって言ってるのよ。「製造部門」ってのは、文字通り、「クスリを造る作業をする部署」のことよ。
教授:「品質部門」ってのは、ここがちょっと厄介だけど、「品質管理 (Quality Control)」と称して、試験検査、いわゆる分析業務を行う部署と「品質保証 (Quality Assurance)」と称して、品質システム全般のバッチレビューや出荷管理を行う部署のことよ。
学生:えっ、「品質部門」って、実は2つなんですか?
教授:部門としては必ずしも分けることまでは求められていないけど、機能としては2つだからね。ここがポイントよ。
学生:今まで「品質部門」しか言われていませんでしたよ。
教授:そーなのよねー。今まで、日本では単に「品質部門」って、一括りにされて来たわけ。日本では製造や試験検査のような手作業を伴わない監視的な品質保証の業務って、社内でも嫌われるし、経営者からは無駄なように思われがちなのよ。それで、何となくマイナーな存在にされちゃうわけ。でもね、グローバル的にはQC業務とQA業務が明確に区別されていて、PIC/S GMPでも重要な役割を演じているし、GMPだけじゃなくPQSの牽引的役割もあるもんだから、今回の改正案ではQAの補強込みで、その業務と組織の在り方が強調されているの。だから、気を付けなくちゃダメよ。
学生:そうなんだ。いいこと聞きました。
教授:ちなみに、「製造部門」と「品質部門」については、それぞれが完全に別々の部門として機能していないとダメよ。それが “独立”という言葉で記されているわけ。
学生:なぜなんっすか?
教授:簡単に言っちゃうとー。製造部門が、自分で造った製品って早く出荷したいじゃない。ちょっとだけ逸脱しちゃった場合とか、納期が差し迫っている場合とか。出荷試験や記録レビューがまだ全部終わってないけど出荷したいっていう場合もあるんじゃない。こういう場合に“同じ部門”だと、親分の「たぶん大丈夫だから、それ、出しちゃえ!」の一言で出荷しちゃったりできるでしょ。ホントにOKかどうか判らないのに出荷しちゃって、もしアウトの製品を患者さんが服用したら大変なことになっちゃうでしょ。クスリはヒトの生命がかかってるからね。いくら回収だー、なんて言ったって、間に合わなくなることだってあるじゃない。でも別々の部門として、それぞれに親分がいれば、「なんで品質部門(QA業務に相当)の俺が製造部門の言い分に従わなくちゃなんないの? 出荷してから何かあったら、俺の首が飛んじまう。俺は俺の仕事の責任をまっとうしなくちゃならないから、(QAとして)承認するまで待ってろ!」って言えるでしょ。
学生:確かに、そうっすね。でも、「品質部門」は「QC部門」と「QA部門」に分けないでもいいんすか?
教授:いい質問ね。改正案でもそこまでは言ってないみたい。でも、QCの試験検査(分析)業務とQAのシステム管理業務のセパレートは必要よ。これが改正案の1つの目玉だからね。ちゃんとやらないとお仕置きよ! なーんてね。日本でも、大手企業なんかはとっくの昔に2つ別々の部署として運営してるけどね。小さい会社では品目数が少ないことや人員が少ないことだってあるじゃない。だから、部署として分けなくても、機能で、そして従業員の業務分担として分けておいてもいいかと思うよ。でも、その際は、SOPに規定するなどして、明確に説明できるようにしておいてね。じゃないと、それこそ、査察や監査でお仕置きされちゃうからね。
学生:運営組織って、結構面倒っすね。
教授:そーなのよー。GMP組織って、難しいのよねー。必ずしも会社のビジネス上の組織と一致(superimpose)しないからね。完全一致出来るならば、それが一番分かり易いし、運用し易いけど、現実の製薬会社の組織って、GMP組織メンバーだけの部署で出来てるわけじゃないでしょ。製造に絡むと言っても、プロキュアメントやサプライチェーンの部署も関与するし、会社である以上、人事や経理なんかの管理部門も介在するでしょ。
学生:確かに、そうっすね。
教授:あと、オマケのワンポイントアドバイスをあげる。さっき言った「品質管理(QC)」って、日本では「QC=分析」っていうイメージだけど、海外で言う「Quality Control」は広義の“品質の管理”の意味合いであって、むしろ分析限定の業務は「Laboratory Control」って言うからね。海外からの査察とか監査の際の表現にはちょっと気を付けないと混乱するかもよ。
 
第8条    製造管理者
教授:本邦特有の要件ね。通常の医薬品の場合は、薬剤師でなければならないのよ。生物由来医薬品については、微生物の知識・経験を有していれば必ずしも薬剤師である必要がないんだけどね。なんか、ちょっと変な気がするけど。そういう決まりだから注意してね。
学生:じゃー、僕ら製造管理者になれないんっすか?

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