ファーマデジタル化の問題点 -第3回:解決策

ファーマデジタル化の問題点 -第3回:解決策

医薬品製造業におけるデジタル化(DX)とPharma 4.0の進展はあまりにも遅い。電子システムは効率と品質を劇的に改善できるが、その導入を妨げているのは何か。そしてどのようなアプローチと技術が、真の変化を可能にするのか:

David Margetts, Factorytalk; March 2023. 
当記事は、筆者の経験に基づく意見です。

本記事は、製薬会社のデジタル化に関する記事シリーズの第三回 (最終回)です。Pharma 4.0への旅を加速させる新しいアプローチや活用すべき技術について見ていきます。

製薬会社の問題に対する解決策は、そこにある:
デジタル化を実現するための上記の課題について、製薬業界がPharma 4.0採用へのハードルと、大きな可能性を秘めた主要なイネーブラー (ITやソフトウェアの領域において、特定の機能を有効にして利用可能にする追加のソフトウェアやアドオンのこと)について説明します。

IIoTのためのPublish-Subscribeメッセージング:
MQTT(Messaging Queue Telemetry Transport)は、遠隔にあるセンサーなどが収集したデータを遠隔地にあるSCADAに渡して監視するために開発されましたが、IIoT向けに拡張され、標準的な名前空間とペイロード構造、セッション状態管理を提供し、特に分析用のクラウドサービスや工場外との統合に適しています。

Publish-Subscribeとの主な違いは、ソースデバイスへのリクエストやACK(データ通信において受信側から送信側に送られる、データを正常に受信したことを示す信号)がないことです。 これは仲介サーバーによって処理されるため、デバイスやシステムはいつでも、最も関連するデータトピックのSubscribe決定が可能です。Publish-Subscribeの他の側面として、製薬会社向けに有用である点は、デバイスレベルで確認するのではなく、仲介サーバーを通じて接続の状態を共有できることと、新しいデバイスの設定無しで、ネットワーク上で即座に開始しアクセスできる能力です。
MQTT Sparkplugの興味深い点をまとめると、以下のようになります:

 -    Publish-Subscribe型プロトコルを採用
 -    例外処理時にレポート
 -    オートコンフィグレーション
 -    エッジ駆動
 -    軽量プロトコル

よって、Publish-Subscribe型プロトコルの導入と、製薬会社が有する技術スタックへの対処法を想定すれば、最終的には明らかにクラウドへのデータフローが必要となるIIoTベースのアプローチが該当します。そしてこの手法は、通信プロトコル、システム統合、ソリューション設計にPublish-Subscribe型プロトコルを用いることで、データへのより広く迅速なアクセスが可能となります。

*参考:W.Reynolds 4.0 Solutions, 2022のプレゼンテーションに基づく。

統合された名前空間とプロセスの柔軟性を両立
上記で述べたMQTT SparkplugのようなIoTプロトコルの機能と同じく、産業オートメーションにおける新たなコンセプトが、統合された名前空間(UNS)です。現在のUNSは、特定の製品や機能ではなく、コミュニケーションに必要な機能を備えています。これは、データを集中的に共有・配布・参照するため、最近の傾向に即したソリューションを構築するための方法です。一方、製薬会社が現在保持しているレガシーITソリューションは、IIoTやUNSを採用するための近代化や準備が整っていません。このことを考慮すると、UNSを導入するための現実的な方法は、統合ミドルウェア、つまり優先するアプリケーションとデータを結びつけるソフトウェア、を活用することです。

ある意味、UNSは組織全体から簡単にアクセスできる単一のデータソースとして機能し、生産設備や製造オペレーションに関する情報に対して、リアルタイムでのアクセスをすべてのシステムに提供します。これにより、製薬メーカーはデータ駆動型で作業や構築を行い、品質、コンプライアンス保証、プロセス効率における課題をより効果的に解決できます。ある企業のUNSをルールに従って構築することで、データが真に単一となります。そのため、UNSを採用する新しいシステムは、各部門のデータベースがサイロ化してデータや労力が重複してしまうことがなくなります。そして、単一のデータ源泉であるUNSとの間でデータを作成し参照するように組み込まれます。

IIoTとUNSの機能を持つ組織では、すべての重要なデータ(および後に重要であることが判明するデータ)が簡単に利用でき、全社的にアクセス可能となります。このように、IIoTのITランドスケープは、何百万ものエンドポイント、大量のデータ、さまざまなデータタイプに対して、技術的にもユーザー的にもスケーラブルです。

*参考資料: Unified Namespace Essentials

製薬会社の観点から見たUNSのもう一つの興味深い点は、アプリケーションユーザー向けに、イベント中心の働き方に移行できることです。今日の製薬会社のレベル3では、アプリケーションは固定的つまり仕様ベースで、ソフトウェアは統合されていませんでした。そのためユーザーは既存の業務と並行して、ソフトウェアのトレーニングを受ける必要があります。結果としてアプリケーションの使用法は、直感的ではなくユーザーを巧みに誘導も出来ず、製造現場で日常的に発生する予定外の問題や例外事象に対処する必要が発生します、よって業務を同調する上で不十分な役割しか果たせませんでした。一方でUNSは、関心を惹くすべてのデータを単一のソースで提供することができるので、システムとプロセスを複数それぞれで管理し、それらの管理を手動でなく、重要なイベントを中心にしたアプリケーションとプロセスの設計で、対処することができます。

 

 

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