医薬品のモノづくりの歩み【第18回】

「モノづくりカルチャー」と安定供給(6)

 今回は、医薬品の「モノづくり」における「安定供給」のための4つ目の大要因である「安定品質」についてお話します。
 工場が安定供給の責任を果たすために「安定した品質を維持すること」は大切ですが、安定した品質が維持できないと、なぜ安定供給に支障をきたすのでしょう?
品質が損なわれる原因には、製造技術の低下や作業者の技能が低いと製造作業が不安定となるため、不良品の発生や逸脱・トラブルによるロットアウトを招くことにより収量が低下します。その結果、期日までに予定された数量の製品を出荷することができなくなります。
また、製造現場のGMP管理が低下したり、作業者の品質意識が低下したりすると、GMPの逸脱やトラブルの発生リスクが高まり、万一発生した時には、その対応で製造が中断します。その結果、スケジュール通り生産を終了させることができず、製品の出荷に遅れが生じます。
このように、安定した品質が得られないと収率ロスや時間的なロスを招くだけでなく、市場出荷後に品質が保証できないことが判明した場合には、市場からの回収となり、欠品の恐れになるなど安定供給面でも齟齬をきたすことになる訳です。つまり、品質意識を持ってGMPに準拠した製造を行うことで、安定した品質の製造を継続でき、その結果、安定供給にもなることから、特性要因図の大要因のひとつに挙げられます。
 「ものづくり」における品質に対する取り組みは、これまでも連載で触れてきましたので、ここでは、「安定供給」に視点を置いて、製造部門と品質部門が果たす役割の中で、特に留意すべき点について話を進めていきましょう。

 品質試験部門(QC)では、まず、原材料、中間体や最終製品の品質試験の手順に従った計画的な実施が、生産スケジュールや製品出荷スケジュールに直接的に影響します。そして、品質管理(QA)では、製品の出荷判定や逸脱トラブル時の円滑なGMP対応、原材料供給業者への定期的な査察による原材料品質の安定化、そして、変更管理の対応が、安定供給面で、関りが大きい業務と言えます。
 一方、製造部門では、これまで触れてきました製造の安定化と設備の安定稼働など日ごろの取り組みに加えて、更に品質を安定化するために、生産のリソースである原材料(Material)、設備(Machine)、手順(Method)、人員(Man)の4Mの視点で最適化に取り組みます。つまり、原材料の品質、設備の稼働、製造手順書の内容、そして人材品質のレベルを上げて、4Mの変動を小さくすることで品質の安定化を図っていく事です。

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