「モノづくりの君へ」【第11回】

【第11回】
 1.まず、中期ビジョンを作れ!
 2.中期ビジョンの概略
 3.中期ビジョン基本例(目次)
 4.策定の留意点
 5.中期ビジョンと日常業務の遂行
 
 前回まで幹部・管理者としての実践的心構えや、留意点等を述べてきたが、さらに今回からは貴君がとるべき具体的な実践行動について述べていく。
 
1.まず、中期ビジョンを作れ!
 幹部・管理者の最初の重要な仕事は中期ビジョンの策定あるいは中期ビジョンを持つ・描くことである。
 中期ビジョン(あるいは中期計画)とは3年~5年程度の会社や工場の目標・方向性を示すものである。
 多種多様な人が集まった工場では、みんなを「ひとつにまとめ」、それぞれの強みを生かしてこそシナジー効果が上がり成果が得られる。そのためには工場をどうしようとしているのか、どんなモノづくりをしていこうとしているのか等々の、工場としての中期ビジョンを策定し、みんなに提示することが必要である。(工場とは限らない。組織全般に言えることだが特に工場は他の組織と比べて種々雑多な人が集まっている)
 そもそもモノづくり(だけではないが)では、その時の状況に応じて単に毎日毎日同じモノをつくる(作っている)短期的視点からだけの生産活動ではやがて衰退する。たえず「時代の変化」と「自分の夢」に対応、そして先取りして、つくり方はどうなる、どうしていくのか、技術やコストはどうしていくのかというような中期的な視点が必要である。
 自身では直接作業にかかわらず部下や関係者に「やって頂く」身として、その仕事の必要性、緊急性等について貴君がどんな考えに基づいてやろうとしているのかを中期的視点に立って説明しなければ説明性、説得性がないではないか。特に短期的、緊急避難的な行動をする必要がある場合には。
 よく誤解されることはあくまでも「ビジョン」であって、単なるスローガンではないことである。
 どんな工場にしたいのか。なぜそうなのか。どうやって具現化(すなわち具体策)しようとするのか。そしてそれぞれの部門や人に何を期待するのか。その結果、売上、人員、投資等々どうなるのかまでを全員に提示・説明しなければならない。「理念」と「目標」そして「達成のプロセス」及び業績予想数字が明示されていることが必要である。それがビジョンである。
 もちろんそのビジョンは、i)会社全体として整合性がとれている必要がある。 ii)ビジョン達成に合理性・論理性・説得性がないといけない。 iii)その戦略で他社との競争に勝てるビジョンでないといけない。
 さらによくある間違った例として、i)ビジョンは提示するが、リソース(人員や投資額)や業績予想結果の数字を明らかにしないことである(これでは単なるスローガンになる)。そしてii)策定しっ放し、すなわち少なくとも毎年これらのビジョンを時代の変化に合わせ、見直し・修正しないことである。

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