業界雑感 【2022年7月】

 薬学部のカリキュラムのうち、薬剤師養成を目的とする課程が2006年度の入学生から4年制から6年制に延長された。その入学生の卒業が2012年なので、6年制の薬学教育による薬剤師が誕生して今年で10年余りということになる。数年前までは、2年間薬剤師国家試験の受験有資格者の卒業生がいなかったことも多少は影響してきたのか「薬剤師不足」が言われていた。
 もともと6年制への移行は医療技術の高度化や医薬分業制度の拡大への対応ということだが、この前後から6年制薬学部の新設が相次ぎ、2006年度の66大学から、2021年度には77大学に増えているという。医学部や歯学部は原則新設や定員増は認められていないのに対して、薬学部は大学が自由に申請でき、法令に適合すれば認可されてきたことも薬学部が増えた一因とのこと。
 こういった状況で、今後数年間については薬剤師の需要と供給のバランスが均衡している状況がしばらく続くらしいのだが、長期的には薬剤師が過剰になると推定されており、20年先には「薬剤師余り」の状況になるので、文部科学省は、今後原則として6年制薬学部の新設や定員増を認めない方針を固めたという。
 一口に薬剤師といっても、最近は疾病領域別に「がん薬物療法専門薬剤師」「感染制御専門薬剤師」といった専門化が進でいる。「在宅療養支援認定薬剤師」「かかりつけ薬剤師」といった患者とのかかわり方も変化してきており、薬剤の調剤や交付、病歴管理などの基本的な業務だけでなく、医療チームの一員としての役割にも期待されている。
 専門性が増せばより多くの人的資源が必要になってくるようにも思うのだが、薬剤師の指示のもと、医薬品の調達や患者さんとの連絡などを含む調剤業務の一部を担う専門スタッフとしてのファーマテクニシャンの導入や、調剤に係る計算や計量、薬歴管理などのAI化などが進むことで、薬剤師は服薬指導や患者の相談対応など、専門性にコミュニケーション能力を加えた薬剤師としての経験や対人スキルの向上と対物業務の効率化も織り込んだうえでの「薬剤師余り」の予測ということなのだろうか。

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