医薬品のモノづくりの歩み【第8回】

医薬品製造の「モノづくり」文化、それは「モノづくりカルチャー」

 これまで話してきました医薬品の「モノづくり」について、第8回では、一旦まとめたいと思います。
 第2回の連載で触れましたように、医薬品も原料から形あるものに作り替えられることから、自動車や化学製品、衣料などと同じ「モノづくり」の領域にあると言えます。改めて「モノづくり」とは何かということですが、それは単に匠の技や職人の技術を捉えているだけではなく、モノを生み出すことに携わっている誰もが身を置いている領域のことを指しています。
 そして、「モノづくり」に携わる人に共通していることは、意識を高め、知識を深め、技術を磨いて、更により良いモノを生み出すよう知恵を絞って努力している。そして、その精神は、人を育て、脈々と次の世代に引き継がれていきます。
 これが正に「モノづくり」であり、それが組織に根付くことで文化となります。
 では、医薬品について考えてみましょう。そもそも医薬品とは、人や動物の病気の診断、治療、予防などに使用し、命や健康に直接かかわるもので、他の商品に置き換えることはできません。そして、医薬品の「モノづくり」を担う製薬会社は、必要な時に必要な医薬品を届ける社会的使命と責任をもっています。また、医薬品は、人や動物の命と健康(身体構造と機能)に影響を与えるものであるため、その品質は、GMP基準に則った厳しい管理下で製造することが求められるものでもあります。    
 従って、医薬品製造に携わる者は、GMP基準を順守して適正な品質の医薬品を、いつでも必要な量を安定供給すると共に、医薬品の製造でロスやムダが発生しないよう生産性を高めることで、顧客(ステークホルダー)からの信頼を得ることに努めます。
 このことから、医薬品製造における「モノづくり」とは、

職場の安全衛生と環境保全に心掛け、GMPを順守して、より適正な品質の医薬品を、いつでも必要な量を、より安く、安定して供給することで、顧客(ステークホルダー)からの信頼を得ようとする個人の意識と姿勢、行動、そして、組織としての有り様」

と表すことができます。そして、それが、製造に携わるひとり一人と組織に定着することで、医薬品の「モノづくり」文化となっていきます。

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