【2019年ECで義務化の安全機能&Part11違反のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<93号>

2017/01/26 製造(GMDP)

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.3.1】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー



こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

そろそろ早咲きの桜の便りが聞かれるようになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は、ECとFDAに関する2つの話題について取り上げます。
1つは、ECで2019年から適用される安全機能について、もう1つは1月末にFDAの製造品質オフィスよりインドの製薬会社に出されたウォーニングレターについてです。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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2019年よりEC域内でヒト用医薬品の包装に義務化される安全機能について
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2016年2月9日、欧州委員会(EC)は、官報の中でDelegated Regulation(委任規制)2016/161を発表しました。文書には、ヒト用医薬品の包装に関する義務的な”safety features”(安全機能)の
詳細について明確に書かれています。

この安全機能の背景には、偽造医薬品の問題があります。
偽造医薬品の流通を防ぐには、医薬品トレーサビリティが必要ですが、各国や地域が、独自のトレーサビリティ認証方法を作れば、域内の医薬品の流通を制限し、サプライ・チェーンに関わるコストを上げることになります。そのため、ユニークな識別子、安全機能の照合に関する手順、安全機能に関する情報を蓄積するリポジトリ・システムの設立と管理といった、ヒト用医薬品の安全機能に関する域内全体で通用するルールを作る必要があります。

委任規制2016/161は、医薬品の包装についている改竄防止対策のされたユニークな識別子と、リポジトリ・システムに蓄積された識別子との照合により、流通のはじめから終わりまで、医薬品の包装の真正性と完全性を保証し、偽造医薬品の流通のリスクを下げることを目指しています。

具体的には、医薬品の個々の包装に、医薬品の製品コードとシリアルナンバーの組み合わせからなるユニークな識別子を2次元バーコード化して印刷します。
製品コードはグローバルにユニークであることが前提となります。
シリアルナンバーは、偽造者に推測されないために、特別なランダム化ルールに従って生成されなければいけません。
製品コードとシリアルナンバーの組み合わせは、少なくとも、製品の使用期限の少なくとも1年後、または、販売または配送の少なくとも5年後の長いほうの期間中、ユニークであることが求められます。

更に、完全性の証明された改竄防止装置を使用することにより、包装が開封または改竄されたかどうかを明らかにし、包装の中味の真正性を保証する必要があります。

包装に付けられたユニークな識別子は、安全なリポジトリ・システムに保存された識別子の情報との比較により、真正性の保証に使用されることになります。

この委任規制2016/161は、2019年2月9日から適用されます。
また、ECは、委任規制2016/161の推進のために、ECはQ&A集を準備しています。

委任規制2016/161
http://ec.europa.eu/health/files/eudralex/vol-1/reg_2016_161/reg_2016_161_en.pdf

Q&A集
http://ec.europa.eu/health/files/falsified_medicines/qa_safetyfeature.pdf

EC域内にヒト用医薬品を輸出している製薬会社様には、インパクトのある規制です。
是非、委任規制2016/161及びQ&A集を一読されることをお勧めします。

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執筆者について

橋本 奈央子

経歴 株式会社プロス CSマネージャ
製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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