医薬品のモノづくりの歩み【第7回】

「モノづくり」の現場で展開される小集団活動とは

 小集団活動とは、第一線で働く従業員全員が、小グループに分かれて、企業や現場で発生している様々な課題や問題をテーマに取り上げ、創意工夫により解決していこうとする自主的な改善活動と定義付けられますが、小集団活動には、その進め方がほぼ同じであることから、取り上げるテーマによって、いろいろな名称で呼ばれています。
 前回でも触れましたように、「モノづくり」の重要要素ごとに、品質をテーマに取り上げた活動は「QCサークル活動」と呼ばれます。設備の安定稼働による安定供給を取り上げた活動は「TPM活動」、原価に関係するテーマを取り上げた活動は「改善活動」あるいは「原価低減活動」と称する活動があり、安全衛生に関係するテーマを取り上げた活動には「KYT活動」があります。いずれも、全員参加で小人数のグループに分かれて活動していくことから「小集団活動」として捉えることができます。

図―1 テーマごとに展開される小集団活動の名称

 そもそも小集団活動とは、従来の組織や職制ではなかなか眼の届かない、職場の細かい問題や課題に対して、同じ職場の仲間が数名集まって、一つの検討チームを作ります。そして、そのチームメンバーひとり一人の役割分担を明確にして、ちょっとした仕事の合間や就業時間後の短い時間を活用して、上司や管理者の指導・助言を受けながら、直接仕事に携わっているメンバーの知恵を絞って解決していく活動のことを言います。
 そのような小集団活動は、「モノづくり立国」である日本で生まれた活動が多く、その代表的ともいえるQCサークル活動は、戦後間もないころの日本製の「安かろう・悪かろう」の悪いイメージを払拭するために、品質管理の技術を導入すると共に、製造する現場では、
 ▹ 品質第一への現場力(問題解決能力)の向上
 ▹ 顧客満足の向上
 ▹ 従業員の「モノづくり」に対するやりがいと一体感の醸成
などを目的として、小集団によるQCサークル活動が始まりました。その継続的な品質改善の取り組みにより、それまでの日本の品質に対するイメージが、高品質で付加価値の高い日本製品のブランドイメージに多きく貢献することになりました。
 ただ、最近では、QCサークル活動を取り巻く環境も変化し、それまでの画一的な活動の進め方から、各々の企業や製造現場の状況に併せて、柔軟に活動を展開することが必要になってきたと思われます。(表―1)


表―1 QCサークル活動を取り巻く環境変化

 

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