いまさら人には聞けない!微生物のお話【第11回】

第二部   微生物のコントロール

1.    用語の解説
2.    微生物は不潔?
3.    なぜ微生物管理が必要なのか?
4.    微生物を殺滅/除去する
 4.1    加熱による殺滅

 4.2    放射線による殺滅
 4.3    化学物質による殺滅

5.    管理の対象としての微生物
 5.1    微生物の好きなもの、嫌いなもの
 5.2    設備/エリア
 5.3    空気
 5.4    製造用水
 5.5    原料、資材
 5.6    作業者の管理
 5.7    清掃、洗浄、消毒

4.1 加熱による殺滅
加熱による微生物の殺滅には、大きく分けて2つのアプローチがあります。水の存在下での加熱(湿熱)か、乾燥状態での加熱(乾熱)かです。湿熱と乾熱では死滅させる条件は大きく異なります。これは100℃のサウナには入れるが、50℃の風呂に入ることはできない、ということからも納得できると思います。

湿熱による死滅は微生物の構成成分であるタンパク質の熱変性により引き起こされます。一般的にタンパク質の熱変性は60℃前後で生じますので、多くの微生物は60℃程度の温度(湿熱)で死滅します。注)1860年代にパスツールがこの条件での処理でワイン中の雑菌を殺滅する方法を見出し、当時のフランスのワイン産業を救ったことは有名です。この方法は現在でも牛乳などの低温殺菌法として使われています。

注)特殊な微生物では、深海底の熱湯が噴出している場所に生息しているものがいます。深海底ですので、100℃以上の高温、高圧の環境ですが、そこに棲みついています。

しかし中には60℃では死滅しない微生物も存在します。たとえば納豆を作る枯草菌(Bacillus subtilis)は、芽胞を作ります。前に説明しましたが、かつて納豆は蒸した大豆を稲わらで包み込むことで製造していました。このプロセスは100℃の湿熱での処理になります。100℃ではほとんどの雑菌は死滅する一方で、納豆菌芽胞はこの条件では死滅しないため、汚染のない納豆を作ることができます。

オートクレーブがなかった時代には、培地を作ってそれを煮沸しても、翌日には腐ってしまうという状況でした。当時培地を滅菌するには、一度加熱処理をし、翌日再度加熱処理を行い、念のため翌々日にもう1回加熱処理をするというのが標準的なやり方でした。この方法を開発したのがドイツの細菌学者のコッホで、彼がこの培地の加熱処理に使った装置は「コッホの蒸気釜」と呼ばれています。

コッホの蒸気釜を用いる蒸気滅菌法も広く用いられ,品温が100℃に達してから30分間加熱する。 細菌の胞子は100℃では死なないので,一度温度を下げ,発芽した生細胞を再び蒸気で殺すという考えで3日間にわたって蒸気滅菌する(〈間欠滅菌〉という)。
                                          --- 世界大百科事典内のコッホの蒸気釜より引用--

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