医薬品品質保証こぼれ話【第11回】

ラニチジン回収と原薬リスク

先般、ラニチジン製剤が「回収クラス1」として自主回収されました。これまで、クラス1の回収といえば、ほとんどが日本赤十字社による血液製剤の回収であり、通常の医薬品でクラス1として回収される事例は極めて稀なことでした。ところが、昨年から今年にかけて、バルタルサン製剤、ラニチジン製剤、そしてニザチジン製剤の三つの製剤に関し、不純物の混入を原因とする、クラス1の回収が発生しました。ニザチジンはラニチジンと類似の化学構造を有することが回収理由とされていますので、大きく捉えると二件ということになります。ちなみに、いずれの場合も、海外当局の情報が発端となっています。

回収理由は、いずれも、発がん性が懸念される物質、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)、あるいは、N-ニトロソジエチルアミン(NDEA)の混入(コンタミネーション)であり、混入は原薬由来とされています。バルサルタン製剤のケースは使用された原薬が中国やインドなど海外の製造所のものであったことが報道されていますが、サルタン系の原薬に関しては、合成過程で副産物(By-product)として生成するこの種の不純物を0にすることは難しいとのことです。また、ラニチジン製剤のケースも、海外で管理指標を超えるNDMAが検出されたとの情報を受け、実際に分析した結果、原薬のラニチジン塩酸塩に管理基準を超えるNDMAを検出、あるいは、その可能性への危惧を理由として回収されています。

これまで、コンタミネーションによる回収と言えば、製剤化工程や包装工程で混入する、毛髪や虫などの様々な異物や微生物汚染がほとんどでしたが、最近では上記のような原薬由来の不純物の混入(残存)が増加傾向にあり、その不純物は、類縁物質等、想定されるものではなく、予測がつかないものも散見されます。エカベトナトリウムへのアセタゾラミドの混入などはその代表的な事例であり、このケースでは、アセタゾラミドがドーピング隠蔽薬に当たることにより、思わぬ方向への展開を見せているのは周知のとおりです。

これらの原薬に混入・残存する不純物は、製造工程を共用する他の原薬が、工程の洗浄不足により残存し混入するケース、出発物質や中間体等、前工程の物質に不純物として含まれていたものがキャリーオーバーにより最終原薬に持ち越されたケース、また、原薬の製造過程で副産物として生成したものが、精製段階において十分除去されなかったケース、さらには、製剤化され医薬品として市場に出荷された後に、何等かの要因により品質の安定性に問題が生じ、加水分解や、その後の化学反応により製剤中で生成されるケースなど、様々な原因が考えられます。

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