【アメリカの医薬品不足プログラムについて】ASTROM通信<56号>

2014/12/18 製造(GMDP)


株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。
 
 
本稿は【2014.08.15】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー
 


 

こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

お盆休みの真っ只中ですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

前々回・前回のメルマガで、FDA(米国食品医薬品局)のウォーニングレターを取り上げてきました。
それらのウォーニングレターの中に、製薬会社に対し、しばしば、"製造する最終医薬品または原薬の数を減らそうと考えている場合は、FDAの医薬品評価センター(CDER)の医薬品不足プログラムにすぐに連絡せよ。"という文言があり、気になったため、今回は、FDAの医薬品不足プログラムについて調べてみました。
 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アメリカの医薬品不足について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
FDAのウォーニングレターに書かれていた医薬品不足プログラムをインターネットで検索すると、FDAの該当ページに容易にたどりつくことができます。
http://www.fda.gov/Drugs/drugsafety/DrugShortages/default.htm
 

アメリカでは以前から医薬品の不足が問題になっており、2011年10月31日にはオバマ大統領が医薬品不足に対応するための大統領命令を出すなど、この問題に本格的に取り組んでいます。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/10/31/executive-order-reducing-prescription-drug-shortages
 

■アメリカの昨今の医薬品不足の状況
アメリカの処方箋薬の不足は、2005年から2010年の間に3倍になったそうです。
また、FDAに報告された医薬品不足は、2010年で178件(うち132件は、無菌注射剤)、2011年で251件(うち183件は、無菌注射剤)、2012年で117件(うち84件は、無菌注射剤)となっています。
後述の製造業者からの不足情報の早期通知が増えたことにより、医薬品不足の発生件数が減りつつあるようですが、古い無菌注射剤の不足は続いています。
 

■医薬品不足の原因について
医薬品不足の原因として、品質や製造の問題、製造の遅れ、原材料の供給者から製薬会社への納品遅れ、医薬品の販売中止等があります。
原材料の納品遅れは、原材料供給者の持つ生産設備の能力の問題で、供給できる量が限られていることによることがあるようです。
また、古い薬は、しばしば、製薬会社が、より新しい、利益を生む薬を作るために製造を中止することにより不足しがちです。とりわけ、無菌注射剤を作ることのできる製造ラインは限られているので、古い無菌注射剤を作り続ける製薬会社はわずかしかないため、古い無菌注射剤の不足が発生しやすい状況にあります。
1社の製造が中止になった時、他の会社が迅速に製造量を増やすことは難しいのも、医薬品不足の原因となっています。

3ページ中 1ページ目

執筆者について

橋本 奈央子

経歴 株式会社プロス CSマネージャ
製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

99件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年7月2日(水)10:30-16:30~7月3日(木)10:30-16:30

門外漢のためのコンピュータ化システムバリデーション

2025年8月21日(木)10:30-16:30

GMP教育訓練担当者(トレーナー)の育成

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます