【第28回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Improve改善フェーズで何するの?(その3)

 改善(かいぜん)とは「悪いところを改めてよくすること」(広辞苑より)とあります。海外でもKaizenと言えば通じるほど、日本語の「改善」は浸透してきています。嬉しいことです。数年前にグローバルミーティングに参加したとき、外国の方が「カイゼン」と発音できず、「カイザン」と言っていました。どう聞いてもKaizan Project(カイザン・プロジェクト)でした。他の何名かも「カイザン」と言い、改竄は真逆の意味になると伝えましたが、“カイザン・プロジェクト”のままでした。
 日本人も“r とl”、“bとv”の発音が難しいのでお互い様です。

 本題に入ります。改善フェーズ(その3)はロジックツリーについてです。真因(根本原因)の裏返しが改善策で、真の原因が分かれば改善は可能とは言うものの、もっと良い方法や他にアイデアはないだろうか考えてみたくなります。第27回で紹介したLEANツールは現場主義、ボトムアップの改善手法です。複雑な作業工程をシンプルにできないだろうか、人手を減らし効率化を進める取り組みが中心の改善手法です。今のやり方を工夫次第でベストな状態にまで磨き上げるという、改善活動の王道です。
 一方でLEAN方式は効率を追求し、そこで働く人には優しくない方向に向かう場合もあります。ルールの厳格化や人の作業や動きのムダを限界まで省きます。ムリはさせない、しないことです。厳しいだけで楽しくないと改善は長続きしません。大切な作業安全面にも影響が出る場合があります。そこはマネージャーやリーダーが十分に配慮することです。全体最適化を目指し、価値のフローを最大化することが目的ですから、トップダウンとボトムアップ、鳥の目と虫の目の両方の視点で改善活動を推進することです。行ったり来たり、押したり引いたりです。

 ここで改善活動DMAICの流れをツールの面から今一度振り返ってみましょう。
(1)「プロジェクト企画書」を作成する(定義フェーズ)
(2)「モノと情報の流れ図(価値流れ図)/VSA」で全体フローを可視化する(測定~分析フェーズ)
(3)フィルターアプローチで真因を特定する(分析フェーズ)
(4)現状(As Is)マップと達成したい将来像 (To Be)マップを作成し、ギャップからアイデアや改善策を検討する(改善フェーズ)
(5)8つのムダ、ベンチマーキング、LEAN手法(考え方)・ツールを用いて改善策を特定する(改善フェーズ)
(6)ロジックツリー、問題解決のフレームワークをMECE*(もれなく、だぶりなく)行う(改善フェーズ)
*: MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)は「ミーシー」と発音します。
 

 (4)と(5)のアイデア出し、改善策でかなりのことが実行できます。100%の改善策はないので、リスクが許容範囲であるなら改善策を実行し、小さなPDCAを回し、改善を実行していくことを勧めています。改善策を温めすぎタイミングを逃し、ビジネスの状況が変わってしまうこともあります。その場合は測定と分析からやり直しです。この見極めは重要です。もっと良いアイデア、改善策に漏れがないかをロジカルに検討するツールに(6)の「ロジックツリー」があります。

 

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