【第20回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Analyze分析フェーズで何するの? (その1)

<図20-1 フィルターアプローチ>

 第3番目のステップ、Analyze 分析フェーズについてです。
 <図20-1>に示すように、Measure 測定フェーズで得た様々な情報を漏斗(フィルター)の中に入れ、問題・課題を整理し、重要項目に絞り込み、真の原因を見つけていくアプローチを行います。これをフィルターアプローチと呼びます。

  • 現状の問題・課題を整理する(測定~分析フェーズ)
  • プロセス分析とデータ分析を通じて重要項目を見つける(分析フェーズ)
  • 更に絞り込み、少数(3~5つ)の真因(根本原因)を特定する(分析フェーズ)

その時に使うツールが、「プロセスマップ分析」、「LEANツールを用いたムダ分析」、「データ分析、グラフ分析」です。

 「〇〇分析」や「真因を特定する」というと難しく聞こえますが、大丈夫です。分析というより、ツールを使って謎解きをするイメージです。途中いろいろな発見があり、DMAICの中で一番ワクワクするフェーズです。謎解きをしながら、従来業務を否定するのではなく、より良くするにはどうするかを考えます。

 Lean Six Sigma(LSS)は統計的アプローチを用いて問題解決を行う手法です。しかし実際に統計解析を駆使するプロジェクトは、複雑系を担当するLSS専任で行うブラックベルトです。担当業務と兼任でプロジェクトを実行するグリーンベルトでは、複雑な統計解析はほとんど行いません。本記事投稿は、Operational Excellenceとは何か、LSS初心者を対象に紹介しています。どうぞこの先も安心してお付き合いください。

 この写真はトルコのカッパドキアで気球に乗って上から撮影した写真です。地上で見る景色と、上空から見る景色は違います。地下の洞窟に入ると更に違った景色でした。同じ場所でも角度により見え方が違います。分析フェーズで行うプロセスのハイレベル分析は、気球に乗って全体感を俯瞰するイメージです。

【 プロセス分析の方法 】
 1)ハイレベルプロセスマップ、価値流れ分析(Value Stream Analysis, VSA)
 プロセスのハイレベル分析についてです。<図20-2>に示すような価値流れ図(Value Stream Map (VSM))を用います。これは第8回 ワークフローの付加価値分析でも紹介した手法で、プロセス全体を俯瞰することができます。
 この例は顧客、原料サプライヤー、工場全体を大きく捉えたプロセスマップで、「モノと情報の流れ図 」といいます。LSSはビジネス・業務全体で結果を出すことが目的のため、大きな視点のマップを最初に描きます。大きな視点で物事を見る、そして自分の担当業務がどこに位置して、どのように貢献するかを考える良い機会にもなります。全体の流れを知った上で担当プロジェクトを実行すること、部分最適化と全体最適化の両方の視点を持って取り組むことができます。
 モノと情報の流れ図(価値流れ図、VSM)を用いた分析を、価値流れ分析(VSA)といいます。VSM/VSAと同じような用語が出てくるので、ここからは「価値流れ図による分析」VSAという表記に統一します。
 VSAはプロジェクト前半で作成すると効果的ですが、プロジェクト実行中のさまざまな場面で活用できます。VSAはハイレベルのプロセス分析なので、部門横断、主要なマネージャーに協力を依頼し、一緒に作成するともよいでしょう。作成時間はワークショップ形式で約3-4時間になります。各プロセスの詳細データ(人員、作業時間、作業の詳細)は、担当部署・担当者に聞き、マップ作成に協力してもらいます。他のプロジェクトで作成していれば、それを共有することもできます。
 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます