【第51回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

改善テーマを見つける3つの視点

 第34回より、2022年秋に開催したGMP Platformセミナー、「一歩進んだ業務改善、納得感あるスタート 〜活動の仕組みづくり」、サブタイトル「変革推進、品質は儲かる」でお話した内容をベースに紹介してきました。今回は、改善テーマを見つける3つの視点についてです。

【ムダ、ばらつき、ボトルネック】
 変革推進という大きなテーマだけではなく、日常業務の改善、何をテーマに改善するかという切り口の第一歩は、OPEX実行の勘どころの中で何回もご紹介している3つのポイント、「ムダ、ばらつき、ボトルネック」です。これもまた復習となりますが、図51-1に示しますように、品質(製品品質と業務品質を含む)に対して、コスト削減や追加コストの発生を防ぐなどして、会社組織の利益(PL)に貢献しようということでした。

<図51-1 品質改善のアプローチ>

 業務改善というと、今の状態に何か問題がある、何か指摘されたように感じる場合もあるので、改善活動の初期にはそうではないことを伝えています。問題解決というより、「世の中の変化や進歩に対応して、自分たちも今より良い状態を目指そう、そのための前進活動」ということです。今、私たちが求められているのは、プロセス改善(Process Improvement)たけではなく、プロセス再構築・再設計(Process redesign)です。最初からプロセス再構築・再設計を求められることも多くなりました。
 更に進んだ新規プロセス開発・設計(Process development)や、DX(デジタルとランスフォーメーション)に向かう活動もあります。それらを実施する上でも、まずは現状を見返すことが大切です。そのときの視点も現状のプロセスマップを作成し、「ムダ、ばらつき、ボトルネック」を見つける、把握することが第一歩となります。

<図51-2 VSM、機能横断マップ>

 【8つのムダ、DOWNTIME】
 ムダについては、具体的にどのようなムダがあるかというと、図51-3に示すようにキーワードはDOWNTIMEです。ムダの種類として8つ挙げています。不良(欠陥)を作るムダ、作りすぎのムダ、作業待ち時間のムダ、人材の不活用のムダ(会議などで良い意見やアイデアが出ても実行されないなど)、運搬や移動のムダ、在庫のムダ、無理・ムダな動き(動作)、必要以上に処理するムダです。リーン・シックスシグマ、DMAIC手法紹介(第22回)の中でも、現状プロセスの分析ツールの1つとして解説しています。

<図51-3 8つの無駄、DOWNTIME>

【ばらつきを見つける】
 プロセスにおけるばらつきの定義とばらつきを見つける概念は少し難しいです。ここで言う「ばらつき」とは、いつも決まった製品やサービス、安定したアウトプットを提供することができず、プロセス(作業)自体やプロセスからのアウトプットが不安定であることを指します。
 決められた製品品質で製造できず、スペックに入っていたり、入っていなかったりする。決められた時間に作業が終わらない。早かったり、遅かったりする。人により作業や品質が一定ではない、安定していない状態などがばらつきの例です。プロセスやアウトプットにばらつきがあると、品質そのものやコストにも影響を与えます。
 高速道路を一定スピードで車が走行しているとき、エンジン回転数は安定し、燃費は良くなります。渋滞や減速と加速を繰り返す場合は、燃費が下がります。スピードのばらつきによるものと同じです。
 ばらつきを発見するには、データを測定します。測定したデータを時系列に並べたり、ヒストグラムや箱ひげ図で表し分析します。相関図で示すこともできます。データを収集して、グラフ化、視覚化すると、ばらつき度合いはよく分かります。

<図51-4 ばらつき>

 

 

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