医薬品のモノづくりの歩み【第24回】

「モノづくりカルチャー」と生産性(4)

 今回は、引き続き製造原価の労務費に影響するロスの発生原因と改善についてです。
労務費の上昇を招くロスには、作業ロス、チョコ停ロスと作業能率ロスがありますが、ここでは、先ず作業ロスについてお話しします。
作業ロスとは、作業指示に対する誤認識、慣れや思い込みによる作業ミスが主な原因になります。また、不注意などによる危険の軽視やヒューマンエラー、疲労、加齢による注意力や思考力の低下でケガの発生を招き、その結果、作業時間のロスを招くことになります。他にもコミュニケーション不足、近道・省略行動、そして、SOPに対する教育訓練不足などから作業ミスを招き、作業上でのケガに繋がることもあります。いずれも、発生した際の作業の停止や遅れ、対処などによる時間的なロスの発生に相当する労務費の上昇が生じます。
このような作業ロスの改善には、図1に示したようなことに取り組みます。
先ずは、作業者と指示する責任者間との双方向の良好なコミュニケーションを取ることで、指示内容をしっかり確認することです。
また、指差呼称や隠れた安全上の問題点を改善するためのKYT訓練、ヒヤリハット活動は作業ミス防止と安全作業において有効な取り組みです。M-SHELモデル(※参照)に基づく安全システムの改善や整理・整掃・清潔・清掃・躾の5S、オペレーション技能教育も欠かせませんが、人手による作業をできるだけ自動化、機械化することも有効です。

図1 労務費の増加を招く作業ロスの発生原因と改善例

労務費の増加を招くロスにはもう一つチョコ停ロスがありますが、チョコ停に関する詳細と取り組みについては次回まとめてお話ししたいと思います。
 と言うことで、最後に、間接費の上昇を招くロスの例から、管理ロスとエネルギーロスを取り上げて、発生原因とその改善例について話を進めます。
管理ロスには、生産計画の不備や原材料などの発注ミスによる原材料の準備不足が原因となって、生産を開始するまでの待ち時間が発生したり、製造現場での製造要員の手配不備によるリソース不足が発生したりする場合に時間的なムダが発生します。また、設備維持管理の不備により設備故障が発生した場合の事後保全や安全衛生管理と環境管理の不足により労働災害や環境汚染などが発生した場合、その対応に多くのリソースが費やされることも挙げられます。
 次にエネルギーロスとは、電力や燃料、水などを始めとしたエネルギーの損失のことで、このロスの発生は、不適切な稼働条件の設定やメンテナンス不足などユーティリティ管理の不備により、負荷がかかり過剰な電力の消費を招くことが挙げられます。

 

 

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