医薬品のモノづくりの歩み【第21回】

「モノづくりカルチャー」と生産性(1)

 今回から「モノづくり」の基本要素QCDのCに相当するコスト(Cost)についてお話しします。
「モノづくり」の基本要素QCDのCとは、コストつまり金額に関わる要素で工場では製造原価として認識されますが、ここでは、「生産性」についても触れながら話を進めていきます。それは、コストが、工場で取り組む生産性向上によって得られた成果を製造原価(金額)により評価する指標として用いられるからです。
 その前に、医薬品企業における一般的な原価について少し触れましょう。
原価とは、医薬品の製造に必要な金額情報を可視化することにより、医療用医薬品では薬価の設定(売価の決定)に活用されたり、会社としても必要な資源配分の見直しに活用されたり、予算、決算や中期的な損益見通しなど会社経営の戦略的な意思決定にも役立てられます。つまり、製薬会社は医薬品を売って、それに掛かった費用、つまり原価を差し引いたものが利益となり、その利益を増やしていくことで成長していきます。企業が利益を得るためには、売り上げを伸ばすか、原価を下げることです。この原価には、原材料を仕入れて、加工し、服用できる医薬品の形にするまでに費やした原材料費、人件費や動力などの経費を合計した製造原価の他、営業や本社で必要な費用、研究や開発に必要な費用などが含まれます。その中で、製造原価は原価のかなりの部分を占めていて、その多い、少ないが会社の利益に大きく影響します。
そして、製造を担う工場に視点を移しますと製造原価に関する情報は以下のような点で重要であると言えます。

  • 原価低減(コストダウン)に必要な情報となります。
  • 工場間接部門の業務の効率化に活用されます。
  • 製造の実態に即した原価の見積もりができます。
  • 実際の原価の実態を算出し、継続的にその推移を把握して、改善すべき問題点を明確にします。

このように、原価の情報は、工場にとっても会社にとっても、とても重要な意味を持っています。

 

 

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