医薬品のモノづくりの歩み【第19回】

「モノづくりカルチャー」と安定供給(7)

 医薬品の「モノづくり」における「安定供給」のための大きな要因の最後は、「適正在庫」です。
在庫を適正に管理することは、市場での欠品を発生させないために、あるいは
操業を止めることなく安定生産を継続するために大切ではありますが、一方、過剰に保持すると、不良在庫の発生を招き、企業の財務の健全性を損なう恐れがありますので、適正な水準に管理することが求められます。
今回の連載の中における「適正在庫」とは、医薬品の「安定供給」のために適正在庫を管理することについて触れていきます。

 医薬品製造の流れで主に管理される在庫品は、図―1に示したようなものがあります。まず、工場に入荷した原材料や主成分の原薬の在庫があります。
次に、包装するための製剤バルク製品や工程間で発生する中間製品、そして、包装された最終形態の製品が出荷されるまでに保管される最終製品在庫があります。
その他にも、工場では、生産に支障をきたさないよう製造設備等の劣化や故障しやすい部品などの予備品やフィルター、試薬、作業着などの消耗品も在庫を保有しています。

図―1 医薬品製造プロセスで管理される在庫品一覧

そして、このような在庫を「安定供給」の視点で保持する意義について触れますと、在庫は次のプロセスに対して、供給の時間的ロスの発生を防止することにあると言えます。
つまり、在庫量を適正に管理することにより、生産遅延が発生しても、在庫品を供給することにより納期の遅れを無くし品切れを防止します。
また、在庫量を調節することで操業の変動を小さくし、安定生産を継続することや、急な注文が発生するなどの受注の変動に対して、在庫品を供給することによって、供給の安定化を図ることができます。
言わば、在庫は、生産と製品の供給の時間差を埋めるもので、製造の前後工程の生産能力の差を吸収する調整役と言うことですね。
では、もう少し具体的に在庫がどのように管理されるかについて話を進めましょう。

 

 

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