医薬品のモノづくりの歩み【第15回】

「モノづくりカルチャー」と安定供給(3)

 では、今回から大きな要因ごとに、中骨や小骨で挙げた要因に触れながら、重要要因一つひとつについてもう少し詳しく話を進めていきます。
 まず、生産計画についてです。
 生産計画とは、工場の各部門において納期を守るための基準になるもので、仮に、トラブルなどで計画の見直しが必要になった場合に、適切に計画を修正して、各部門の生産活動を円滑に進められるようにするものです。

 生産計画を立てる目的は、一般的には、

  • 販売計画に対して、納期や生産数量、在庫水準を保証するためです。
  • 原材料の手配の基準とするためです。
  • 生産能力や生産リードタイムに見合って、操業の平準化と効率化を図るためです。
  • 長期的な生産計画では、長納期の原薬、原材料や人員、設備の準備をするためです。

などが挙げられますが、特に多品種少量生産である医薬品製造では、在庫情報や生産ラインの稼働状況に基づいて、品目毎に生産する順序の優先度を適切にするために立てられます。

 工場では各部門が図1に示したようなあらゆる業務を通じて連携し、生産の役割を果たしています。従って、その道標となる生産計画は、精度の高いものが要求されます。精度の高い計画を立案するためには、生産に関わる様々な情報を把握して、的確に計画に反映することが重要です。
特にGMP基準を遵守して製造を進めていく医薬品製造では、最近では、変更管理やCAPA計画を生産計画に適切に反映することが重要になってきています。

図1 工場各部門の主な業務関連図

 原材料や製造条件などの変更管理が計画されていないか、あるいは、変更管理の手続きが生産開始までに終了しているかです。
例えば、変更された原材料が、どのロットから使用されるか、特に汎用添加剤などの共通原料は、使われている製品ごとの生産計画に気を付ける必要があります。そして、変更管理の対象となる原材料の引き当て、払出しは変更管理承認をもって可能となるようにします。
 また、設備や製造方法の変更が発生した場合では、GMP手順に則って、生産開始までに変更管理手続きを終了していることが大切で、生産計画の見直しは、変更管理スケジュールに基づいて適切に修正します。
 更に、品質試験法や規格の変更では、変更時期に従って、生産計画で対象となる製品ロットから新しい試験方法と規格で正しく評価されるよう明確にします。


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