【第23回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Analyze分析フェーズで何するの? (その4)

LSSは定性的な面と定量的な面の両方からロジカルに問題解決を行う手法です

  • プロセスマップ分析とムダ分析は定性的な分析手法です。(分析フェーズの前半で説明)
  • データ分析は定量的な分析手法です。(分析フェーズの後半で説明)

【 データ分析、グラフ分析 】
 分析フェーズの後半、「データ分析、グラフ分析」について紹介します。いよいよ定量的な分析方法に入ります。業務でデータを扱わない方には少々難しいかもしれませんが順番に説明します。

<図23-1 データ分析の手順>

 まずはデータ分析とグラフ化の基本的な手順についてです。手順とは<図23-1>に示すように、安定性、形状、広がり、中心化、そして比較する流れです。プロジェクトだけでなく、通常の品質検査業務、生産状況の確認、逸脱分析などでも活用できます。(データ分析で確認する基本的な流れ・手順です。データサンプリングとサンプルサイズの話はしていませんが、サンプルが適切であることが前提です。一般的にサンプル数の最低は30です。N≧30を用いてください。会社や部署で決まった手法があれば、勿論それに従ってください。)

<図23-2 データ分析の手順、グラフ化>

<図23-1>と<図23-2>を参照しながら解説します。

  1. 安定性:データが時系列でどのような動きを示すか確認します。対象期間のデータが上昇/下降傾向、規格を越えた外れ値があるかどうかなどを視覚化します。エクセル表だけでは傾向や外れ値の確認は難しいです。データの明らかな入力ミスや欠落などもグラフ化により発見できます。データの安定性を見るグラフは、統計的工程管理図 (Statistical Process Control Chart, SPCチャート)を用います。中央のラインはサンプルの平均値、上下の赤いラインは管理限界(±3標準偏差)を示します。まずはこのチャートを作り、データの時系列の安定性・傾向を確認します。管理図が作れない場合は折れ線グラフで代用できます。
  2. 形状:データの形状を確認します。形状・広がり・中心化はヒストグラムで確認します。棒グラフのようですが、縦軸は度数です。左右対称の「正規分布かどうか」も判断できます。この例はほぼ1つの山ですが、山が2つあったり、左右に偏っていたりする場合もあります。山が2つある場合は、異なる事象が1つのデータに入っていることを疑い、ここからの何かを発見できる場合があります。
  3. 拡がり:データのばらつき度合いを確認します。ばらつきは、最大値と最小値の差を示す「範囲」、中心からの拡がり度合いを表す「標準偏差」などを用います。データにより山のすそ野が広いのか、狭いのかなど確認することができます。図に示すのアプリケーションは、ヒストグラムと一緒に範囲や標準偏差も自動計算し表示してくれるので便利です。
  4. 中心化:データの中心はどこにあるかを確認します。データの中心で最も使われるのが「平均値」です。データが1つ山で左右対称を前提に、中心データとして使用できます。データが正規分布していない場合、左右に偏りがある場合は「中央値」を使用する方が良いです。
  5. 比較:データの比較を行います。前月と今月のデータを比較する。ラインAとラインBのデータを比較するなどです。箱ひげ図(Box plot)を使うとデータの違いが良く分かります。箱ひげ図はデータの50%範囲がボックスで示され、平均値、中央値なども比較できます。他にも用途により散布図やレーダーチャートなどいろいろあります。
     

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