知的生産性を革新する組織構造・空間構造【第6回】

2017/03/23 施設・設備・エンジニアリング

6.空間と知的生産性-2

6.4.知的生産性を上げる空間要素

知的生産性を上げる空間構造の具体的な構成要素は、大きく分けて2つのグループに分かれる。コミュニケーションの条件を作り出す見える化施設と、コミュニケーションする場としてのインタラクション施設である。
 
6.4.1.見える化施設
相手を視認できる見える化はコミュニケーションの基本的な条件である。見える化の拡大は知的生産性の高い研究施設の空間構造を決定するときの1つの原則である。
 
1)吹き抜け
ある程度の規模の吹き抜けが、立体的な見える化を拡大する重要な装置となる。吹き抜けは研究開発施設の中心にあり、人の集中する大部分の空間を見ることができる。見えることによって、すべての階を一体化し、全体を一つの空間にする重要な装置である。吹き抜け空間は、そこにいるだけで魅力を感じる空間でもある。オープンな階段に、打ち合わせコーナーなどインタラクション施設を設置し、そこに人が集い対話することで、その存在がさらに大きな意味を持つことができる。


図-12 見える化の施設:吹き抜け


2)透明の壁
研究施設や生産施設においても最近ビルのオープン化、透明化をするためにガラスの多用が現象となっている。ガラスは壁を透明にすることで、空間に明るさと開放感を与える。さらに互いの作業状況や存在が視覚的に確認できることで、安心、安全、コミュニケーションの拡大を図ることができる。
吹き抜けは床をなくすことによって垂直の見える化を拡大し、立体的にワンルームにしようとしているが、透明の壁は中の仕切り壁をガラスにすることによって水平の見える化を拡大し、平面的にワンルームにしようとしているのである。ワンルームが一つの組織という意識を醸成し、コミュニケーションを積極的に進める心理的な大きな力となっている。

図-13 見える化の施設:透明の壁

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執筆者について

糀谷 利雄

経歴 1967年明治大学理工学部建築学科を卒業。
1982年大手エンジニアリング会社入社。
医薬を中心に、生産施設、研究所など多数のプロジェクトに参画し、高生産性を実現する施設のコンセプトを計画・設計する。
現在、株式会社シーエムプラス フェロー
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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