【第18回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Measure測定フェーズで何するの? (その2)

 「現状プロセスを測定する」に続けて、「現状データを測定しグラフ化する」に関する紹介です。皆さんは月次で何らかのデータを扱っていると思います。何か新しくデータを測定しなくても、既存のデータを使用することができます。データが無い場合はデータ収集から始めます。Lean Six Sigma DMAIC手法では、定性的なプロセス分析と定量的なデータ分析を合わせて、プロジェクトを展開します。
 例えばゴルフの腕前を上げたい、ダイエットをして体重減らしたい場合、「頑張ります」の気合いだけでは結果を評価することができません。ゴルフではコンスタントに90台を切るとか、ダイエットでは3カ月で6kg減らすとか数字で示すと具体的になります。
 どのようなデータを収集するか、何を測定するか、これを決めることは簡単ではありません。定義フェーズのプロジェクト企画書で、業務で用いているKPIがある場合は使用します。データはKPIとそれに紐づいたものです。

  • 「部品受入れから、製品出荷までのリードタイム(日)」:全体と各工程の作業日数をデータ収集
  • 「抜き取りサンプリングによる良品割合(%)」:対象ロット、生産数、サンプリングによる良品、不良品の数など
  • 「優良顧客に対する受注/失注件数(割合)」 :顧客データ、受注と失注件数

 プロジェクトの「削減金額目標があり、これを指標にしてもよいですか」と聞かれることがあります。削減金額をメインのプロジェクトKPIにすることはお勧めしません。過去の削減金額を分析しても、そこから得られるものは少ないからです。削減金額や効果金額は、プロセス改善の結果という位置づけです。プロセスの良し悪しを測る指標を設定することをお勧めします。
 
 【 現状データを測定 】
 データ収集の目的は、プロジェクトや対象プロセスの良し悪しを数値で表すことです。棒グラフや円グラフ、折れ線グラフにしただけでも見えてくるものがあります。測定フェーズはデータ収集がメインですが、データ収集したら直ぐにグラフ分析を行います。測定と分析は続けて行うものです。
 データ収集期間は半年や過去1年のデータをグラフ化すると良いでしょう。季節変動や年次変動がある場合はこれらも加味します。変化が早い時代です。数年前のデータは役に立たず、欲しいデータは最近のものです。折れ線グラフや棒グラフに加えて、バラツキ度合いを表すヒストグラムは有効です。ヒストグラムとは<図18-1>の右上に示すように縦軸は度数(カウント)で横軸は対象データの区間ごとに区切ったグラフです。

<図18-1 データのグラフ化、視覚化>

 収集したデータをどのようなグラフにするか、グラフとその特長を知っておくと便利です。

  • 時系列チャート、ランチャート(左上):データを時系列で表します。上昇傾向、下降傾向、アップダウンなどを確認することができます。SPC(統計的工程管理図)でグラフ化することもできます。SPCの紹介は Control管理フェーズで行います。
  • ヒストグラムと記述統計要約(右上):度数分布のヒストグラムから、データの形やバラツキ度合いを確認することができます。山が1つ、山が2つ、左右に偏りのあるデータなど視覚化できます。データには最大値、最小値、範囲、平均値、中央値、標準偏差などあり、これらも計算します。同時に自動計算表示してくれるアプリケーションもあり便利です。 <図18-2>は使用例です。
  • 箱ひげ図(ボックスプロット)(左下):グループごとのデータを比較できます。データの50%範囲(箱の部分が全体の50%)、平均値や外れ値を確認できます。改善前後のデータもこれで表すことができます。
  • 相関図(右下):X-Y軸のデータからXとYの相関があるかどうかをグラフ化します。
<図18-2 記述統計要約グラフ、ヒストグラムと主な数値>

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