いまさら人には聞けない!微生物のお話【第26回】

15.5 湿熱滅菌工程のバリデーション(PQ)

PQの前には、すべての計器類を正しく校正する、もしくはその有効期間内であることを確認しなければなりません。その上で、PQにて確認することは、次の2点です。

①    微生物(指標菌)の死滅動態
②    製品の完全性

たとえばオーバーキル法で条件設定を行った場合、PQとして通常は3回のハーフサイクルランと3回のフルサイクルランの計6回のランを行います。さらに必要に応じてより短時間のラン、製品を半分だけ入れた状態でのランなどを加える場合もあります。その際、通常の滅菌と異なる点は、バイオロジカルインジケータ(PCD)および温・湿度センサーを通常滅菌時より多数使用し、滅菌器全体の状況を確認することです。バイオロジカルインジケータについては、多数準備し、それらを製品に挿入するだけですが、温・湿度センサーは、そもそも滅菌装置に十分な数は装備されていないこともあります。その場合は、バリデーションポートを利用し、外部から必要な数のセンサーを挿入する、あるいはデータロガーを利用することになります。

なお滅菌装置の保守等で、装置の条件が変わった可能性がある場合は、その前に製品を入れない状態での温度分布の測定などを行います。

滅菌装置の運転自体は、通常時と変わるところはありません。あらかじめ決められたプロセスパラメータで滅菌を行います。当然ですが、ハーフサイクルのExposure時間は、変えなければなりません。またバイオロジカルインジケータや温度センサーなどの挿入時に、記録として写真を撮影することもあります。
滅菌工程が終了して滅菌装置の扉を開けたら、速やかにバイオロジカルインジケータや製品アンプルを取り出し、それぞれの試験に供します。その結果が出れば、PQとしての作業は終了です。

後は実施したすべてを取りまとめた報告書を作成して、一連の作業が完了となります。

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