製薬会社MRとは一体何か?【第3回】

本日私の3回目の連載となります。
改めて自己紹介をさせていただきます。
新卒で塩野義製薬に入社し、2社目でコントラクトMRを経験し、現在は医療IT企業にて営業を担当してます。
会社員の傍で、「製薬MR」を中心にYouTubeも配信しております。(チャンネル名「にしまファーマ」)

2回目の連載ではMRの必要性というテーマで、あまり医薬品業界で語られていないMRがどんな時に活躍するか、といった観点で執筆いたしました。
本連載では、もう一歩製薬MRのネタに踏み込み、最近のトレンドであるMR不要論というテーマで連載します。

読者の皆様も、「MR不要論」という言葉を何度か耳にしたことがあると思います。
MR不要論という言葉は過去に東洋経済やミクスオンラインにて何度か記事になっているからです。
MRに限らず、〇〇不要論という特定の職業を狙った記事や本を本屋などで見かけますよね。
一つの職業を狙って不要という風に煽ればメディアにアクセスが集まる、そんな理論で各メディアが取り上げる時があります。

【なぜ、MR不要論が叫ばれているのか】

まず、MRに関してはなぜ不要という風に言われているのか簡単にまとめます。
簡単にまとめると、理由は3つ。

1つ目が「コロナ禍に入って、MRと医師の面会に規制がかかるようになった。MRと医師の面会数は減ったものの、一方でMRの売上は変わらなかった」という論理です。
確かに、極端ではありますが営業マンが顧客のところに訪問しなくても売上が変わらない、ということになるので論理的には一見正しいように見えます。
面会数が減り、訪問してもしなくても売上が変わらないのであれば、MRの必要なのかどうかというところが問われるようになっています。

2つ目は「医師が積極的にネットから情報を収集するようになった」ということです。
最近では医師向けのオンラインコンテンツも拡充され、添付文書を始め、医薬品のあらゆる情報がネットで情報を得られるようになっています。
その結果、医師はもうMRよりもネットで情報を得るようになった、と言われるようになりました。
ITに慣れている医師も多く、ご自身で検索される人も増えてきました。

3つ目は「MRの情報伝達内容の画一化」です。
MRが情報を提供する際には「プロモーションコード」と呼ばれるいわゆる情報提供の「ルール」が存在します。
それを破ってしまい、会社にバレてしまうと該当者が降格したり、違反の度合いによっては解雇される事例まであります。
このプロモーションコードは年々厳しさを増しており、現場でも頭を悩ませている人も多いです。
では、どういう風に画一化されてきているかというと、簡単に言うと「添付文書に載っている情報以外の提供ができない」というものです。
※わかりやすくするために、かなり極端に言っていることをご了承ください。

添付文書はネットで調べることができますから、MRが添付文書以外の情報を伝えられないのであれば、薬の情報を知るためにはネットを見ればいいよね?となるのです。

以上3つの理由から、医師がMRにわざわざ会って情報をもらう必要性がどこにあるの?という風潮になっています。
特にコロナ禍になってからはMRがそもそも不要なのではないか?と言われるようになりました。

ここまで書くと、確かにMR不要論が言われている理由がわかったと思います。

ではMR不要論は本当なのか、ということをここからまとめます。
私の結論では、「MRが0になることはなく、ある一定のところで人数は下げ止まり、その後は一定数を保つ」これが正しい表現だと考えています。
MR不要論は0か100か、という話になるので全く不要ということにはなりません。

それではここからは理由についてまとめます。

【MRが不要ではない理由】
先に言っておくと、ここからの話は私自身元々MRをしていたから、現役の方を擁護したい訳でもないし、ポジショントークをするつもりもありません。
俯瞰してみた時に、MRはどういう立ち位置になるか、をまとめます。

まず、大きな理由としてMRが1番必要な時は2回目の連載でも書いたように「新薬の立ち上げ」の時です。
製薬会社は発売した新薬を周知し、医者からたくさんの処方をもらうことで、お金を稼ぎ研究開発費を回収するのが狙いです。
そのため、新薬を発売する時には一気に広告をしなければなりません。
医療用医薬品は広告の規制もあるので、テレビCMができません。
そこで、多額の広告費をかけずにMRを使って新薬の周知をします。

これがMRがなくならない理由です。

それでは、これだけではMRが必要な理由が弱いので冒頭でまとめた1〜3つの理由それぞれに対して、リアルな現状を書いていきます。
 

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