【第7回】Operational Excellence 実行の勘どころ マスターブラックベルトが語る本音の話

2022/04/22 品質システム

問題解決と課題解決、2つのアプローチ (How はじめにどうアプローチするの?) について紹介する。

問題解決と課題解決、2つのアプローチ (How はじめにどうアプローチするの?)

 問題(Problem)と課題(Issue)の違い
 多くの企業のOPEX(シックスシグマ)活動では、OPEX推進室のような組織ができ、トップダウン方式でプロジェクトがスタートします。そして部門目標、組織のKPI(Key Performance Indicator重要業績評価指数)が設定され、改善活動が展開されます。しかし、どうにも無理にやらされたものは長続きしません。子供のお稽古事と同じです。やって良かったという達成感や、どこか楽しいと感じないと長続きしないものです。1~2年は盛り上がりますが、3年目以降も取り組みが継続するかどうかは、成功バロメータの1つだと思います。

 私の場合、実は「問題解決」と言われると、どうも気持ちが乗りません。仕事なので対応しますが、「新しいシステム、プロセスをデザインしてください」と言われると、グッと気持ちが前向きになります。新しもの好きのせいでもあります。
 皆さんは問題と課題の違いを説明できますか、言葉の上で2つを使い分けていますか? 日本人は、よく「それは問題だね」と言います。英語で問題はProblem、課題はIssueです。
 問題はあるべき状態に対してなんらかのマイナス点があり、ギャップ(=問題)を埋めて、あるべき状態に早く戻さなくてはなりません。例えば製造工程で逸脱が生じたばあい、それは問題で、あるべき状態に直ぐに修正する必要があります。
 課題は目指す状態に対して、現状はそこまで到達しておらず、目指す状態と現状にギャップ(=課題)があり、今後そのギャップを埋める必要があるということです。例えば生産性を更に10%向上したいが、目標に対してギャップがあり、今後改善アクションが必要などの場合です。
 前者は問題解決、後者は課題解決となります。英語で「それは問題Problemである」というと、「直ぐに解決しなければ」、と言われます。「それは課題 Issueである」というと、「計画をたてて目標達成しよう」というアプローチになります。2つは違うのです。

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執筆者について

井口 幸人

経歴

ライズマネジメント株式会社 代表取締役
オペレーショナルエクセレンス マスターブラックベルト
1986年にGE横河メディカルシステム入社、画像診断装置CT/MRIの営業技術、大学病院と共同研究、GEメディカル・アジアにてシックスシグマ・ブラックベルト(ビジネス変革のリーダー)の業務に従事。
2005年にコヴィディエンジャパン(医療機器)、OPEX(Operational Excellence)推進室長として、全社の変革プロジェクトを統括。その後、テバ製薬、ユーシービージャパンの生産部門でOPEX活動の責任者として従事。
2016年にライズマネジメント社を設立し、ビジネス変革のトレーニング、コンサルティングなどの活動を実施中。特にハンズオンでのプロジェクト実施、コーチングが得意です。   

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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