GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第55回】

手順書について。
手順書
1.制定、改訂のタイミング
是正措置や変更管理において、手順の改善や変更をする時、まだ、手順書が制定や改訂できていないのでその新たな方法で実施すると逸脱になるとの意見になることはないだろうか。製造方法や試験検査方法を改善や変更をする時、バリデーションを実施することになる。PQやPVを実施する場合、その手順書は制定や改訂されていないとバリデーションを実施できないと考える方もいると思う。しかし、バリデーションはその手順通りに実施することで期待する結果が得られるか確認する行為である。逆に、手順を制定や改訂する時、バリデートされていなければならないものである。実際には、少なくともPQにおいて、その手順の適格性評価が済んでなければ、手順を制定、改訂すべきではない。PVについては、製造工程にわたりその手順通りに実施することで全工程を評価することになるので、PV実施前に手順書を制定、改訂するケースもあるし、PVの結果をもって、手順書の制定、改訂するケースもある。どちらもPQにおいて適格性評価ができていることが前提だが、どちらの考えもその製造所のポリシーとして、手順書の制定を行うかを決めることでよい。
バリデーションの必要ない工程における手順書はどう考えるべきかを考える。バリデーションが必要ない工程でも、その手順のとおり実施できるのかはリスク評価をすべきである。実際の作業内容を検討し、手順のとおり進むかを確認しておかないと、想定できないリスクが存在するかもしれない。バリデーションを実施しないからと言って、試作も工業検討もせず、ぶっつけ本番は品質的に問題ないことの評価がされない状況で、避けなければならない。そのためにも、試作や工業検討を行い、確認が取れてから手順書の制定や改訂を行うべきである。そこで、重要なことは、どのようなスケジュールで行うかを是正措置の計画立案時や変更管理のリスク分析において、どのような確認や検証を行うか、手順書の制定、改訂を行うかを記載し、管理することが必要である。
ICH Q101)の目的である継続的改善の促進にある改善とは逸脱における是正措置ではない。
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