インドについて(2016年版)【第1回】

2016/06/23 その他

前回2013年に、インドビジネス雑感としてインドについて書かせていただきました。その後インドを何度か訪問し、原薬工場の立ち上げにも立ち会ってきました。インドの仕事で新たに感じたことを書いてみたいと思います。

ライチュールの町
私が良く訪問するのは、ハイデラバードとバンガロールの中間にあるライチュール市。ハイデラバードとバンガロールの中間、デカン高原の真ん中にある人口50万の小さな町です。はっきり言って田舎です。この町では、市内を流れるクリシュナ川を冷却水とするカルナータカ州第一号の火力発電所(1号機2号機)が、1985年に稼働し始めています。その後次に次に拡張され、2010年に8号機まで稼働しています。さらに、現在別の場所にもう一つの新しい火力発電所が2016年現在稼働直前の状態となっています。インドは電力不足が激しいのですが、火力発電所が近くにあるということで、発電所の近くには、工業団地がいくつもできています。植物油、精米、綿紡績、鉄圧延、製薬等の企業が誘致されています。
 
周辺は、クリシュナ川の水を使った米作が盛んです。また綿の栽培も盛んで、綿、植物油の産業が伝統的産業です。綿産業で財を成した人々が新しい産業を起こしています。後述しますが、稲わらは、煉瓦作りの燃料に、もみ殻は前回述べたようにボイラーの燃料に使われています。私の訪問する会社のボイラー燃料はもみ殻です。
 
気候は、6-11月位が雨季。11月から5月までが乾季。雨季前の4月5月が猛烈に暑いです。5月にライチュールに行ったことがあるのですが、最高気温43度でした。40℃を超えるのはざらです。6月になると、雨が降るようになって気温は下がり、40℃まではいきません。2016年2月に3週間弱滞在したのですが、その間、最高気温は34度~39度でした。特別に暑い年だったと聞いています。最低気温は24度位ですね。この時期日本は真冬の一番寒い時期なので、すさまじく熱いと思います。


工場建設
   機器
インドの原薬工場の完成品を見てきたわけですが、特殊機器を除いてすべてインド製です。新たに導入された輸入品はEU製の特殊なコンプレッサーと日本製の膜を使った濃縮器だけです。反応槽、攪拌機、セントル、ろ過器、ろ過乾燥機、クリーンルームの空調一式、HEPAフィルターなどなど、すべてインド製が使われています。既存設備であるROを使った精製水製造設備は、RO膜、EDIの担体設備が輸入品でしたが、アッセンブルはインドで行われていました。最近ではRO膜もインドでも製造されています。
 
インドは新興国ではありますが、原薬の製造機器はほとんど国産です。インド製の機器は人件費が安いためもあって、インドで購入する分にはかなり安価に入手できます。

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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