海外工場建設プロジェクトの進め方 10回シリーズ【第5回】

2021/01/08 施設・設備・エンジニアリング

塚田 進

 
第5回:契約書の注意点

海外案件では、国内案件に比べてプロジェクト遂行上のリスクは多大なものになります。建設のプロではない発注者としては、それらリスクを工事請負者にできるだけ担ってもらいたいと考えることは自然なものです。よって、追加費用や工期遅延リスクを最小にするため、海外においても日系施主様は基本的に設計・施工一括発注を主眼に置くことが多いのです。以下にその契約形態を前提に注意点をいくつか説明したいと思います。

1) 一般的な技術要求実行:
引合時点では、地下に何が埋まっているのかは不明なことがほとんどです。よって、通常は予期しない地中障害が発見された場合は、追加費用清算対象となります。これは、国内でも海外でも同じです。工業団地の土地を購入する場合は、すでに調査済みの場合も多いので安心できますが、工業団地運営母体に地中障害の有無の可能性確認はしておくべきでしょう。

2) 保険:
日本での組立保険、第三者賠償保険などは海外でも付保することは当たり前ですが、国によっては現場作業者への保険も義務付けられています。これらは契約書に明記されていなくとも日系工事会社ならほぼ必ず加入するはずですが、ローカル企業ではその保険費用さえ惜しむ会社が無いとも限りませんので、その国の法律を確認の上、必要であれば契約書で明記したほうが良いでしょう。海外では事故リスクも日本より多いと考えて施工者が付保する保険のカバー範囲を明確にしましょう


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執筆者について

塚田 進

経歴 株式会社シーエムプラス 執行役員。
1級建築士、認定コンストラクションマネージャー(日本CM協会)。
1983年大手エンジニアリング会社入社。大型EPC案件の土木・建築を中心とした国内・海外プラント設計、海外現場管理を経験。エンジニアリング マネージャー、建築部部長代行を経て、2006年同社インドネシア法人社長に就任。700余名の現地社員を率い2014年まで企業運営とインドネシア国内中小案件をリード。海外駐在は、インドネシア、UAE, タイ、イラン、中国、カタール等、延べ15年以上に及ぶ。2016年株式会社シーエムプラスに入社。 国内外固形製剤工場、食品関連工場、医療機器製造設備等において顧客側コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント業務(基本設計、ゼネコン引合い・評価、遂行管理等)に従事。2018年4月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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