品質に関する承認申請資料について【第7回】

 第6回に続き、審査報告から最近の照会事例を紹介する。審査報告は、その目的/性質から記載は簡潔であるが、承認に至るまでに申請者と機構の間では科学的な議論が繰り広げられたに違いなく、行間を読み本質をとらえることが必要である。
 
2.規格及び試験方法に関する照会
(例2)製剤の規格及び試験方法について
 機構は、製剤の安定性試験の開始時点で数種の類縁物質が検出されていること、及び安定性試験期間中に構造決定の必要な関値及び報告の必要な閾値を超えた類縁物質が認められていることから、製剤の規格として純度試験(類縁物質)を設定するよう申請者に求めた。
 申請者は、以下のように説明した。
 安定性試験において、安全性確認の必要な関値を超えていないものの、製剤中で認められている類縁物質は製剤の規格として管理する必要があると考えることから、ガイドラインに基づき、治験薬処方で安定性試験期間中に構造決定の必要な闘値を超えた類縁物質(類縁物質)について、「■%以下」の規格値を設定することとした。
 また、安定性試験期間中に報告の必要な閾値を超えて検出された不純物(■、■、■)についても個々に規格として設定し、規格値を「■%以下」とする。また、類縁物質測定法1の総量については、「■%以下」と設定することとした。
 機構は、以上の申請者の説明を了承した。

(解説)
 製剤の純度試験については、医薬審発568通知(H13.5.1)において、必要に応じ設定すべき項目になっている。設定については、新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン(医薬審発0624001及び0703004)を参考にして検討する必要があり、資料に検討結果を記載しておく必要がある。記載が不十分であると上記のような照会が発出される。


(例3) 製剤の規格及び試験方法について
 機構は、今般の申請製剤は5 mg錠のみであり、本剤を7歳以上の小児に投与する場合等には5 mg錠を半割して用いることになることから、割線により半割した際に半割片の均一性が保たれるか説明するよう求めた。
 申請者は、実生産スケールの3ロットを用いて、半割後、半割片について質量偏差試験(日本薬局方)、質量均一性試験(欧州薬局方)及び溶出性試験を実施した結果、①質量偏差試験の判定値は日本薬局方の基準に適合したこと、②質量均一性試験では、いずれのロットも欧州薬局方の基準に適合したこと、③溶出試験では、それぞれの半割片の溶出率に違いはなく、本剤を半割した際の分割性に問題はないと考える旨を説明した。機構は、以上の回答を概ね了承するが、患者の利便性を考慮し、2.5mg錠等についても今後早急に開発することが望ましいと考える。

(解説)
 割線を有する錠剤は、性状の項にその旨を記載する。また、半割後の品質の確保についての検討が必要であり、質量偏差試験あるいは含量均一性試験等による検証が必要である。
 更に必要に応じ安定性の検討も必要になる場合がある。

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