ジェネリック医薬品の四方山話【第2回】

 ジェネリック医薬品の特許切れの医療用医薬品に占めるシェア率が70%に近づこうとしている。しかしこうした中でも、医師、薬剤師、患者のジェネリック医薬品に対する不信・不安は根強い。
 中医協が診療報酬改定の影響を検証するために行っている「平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」(以下、「特別調査」)を見てみよう。特別調査の中で、病院、診療所の医師で「後発医薬品を積極的には処方しない」と回答した医師にその理由を聞いたところ、1位は「後発医薬品の品質に疑問があるから」、2位は「後発医薬品に関する情報提供が不足しているから」、3位は「患者が先発品を希望するから」となっていた。
 また薬局の薬剤師も実のところジェネリック医薬品に対して不信や不満を持っている。先の特別調査によると、ジェネリック医薬品を積極的に扱っていない薬局の薬剤師にその理由を聞いたところ、1位は「後発医薬品の品質(効果や副作用を含む)に疑問がある」、2位は「安定供給に不安がある」、3位は「(薬局における)在庫管理の負担が大きい」、4位は「(処方せんを発行する)近隣医療機関が後発医薬品の使用に消極的である」の順となっていた。
 また患者さんもジェネリック医薬品に対する意向が分かれている。先の特別調査では全体で15.6%の患者が「できればジェネリック医薬品を使いたくない」と答えている。これを男女間で比較すると、男性13.7%、女性16.8%でやや女性のほうにジェネリック嫌いが多い。実は我が家でも家内がアンチジェネリック派だ。開業医の娘である家内は「開業医の父は絶対に『ゾロ』なんか使わなかった。私も近所の診療所の問診表のジェネリック医薬品希望欄にはいつも×をつけている」と言っている。なお「ゾロ」というのは先発品の特許が切れると「ゾロゾロ」でてくる後発医薬品の蔑称である。
 一方、著者はバリバリのジェネリック派だ。著者が高血圧で服用している降圧剤はアムロジピンとロサルタンだが、いずれもジェネリック医薬品だ。港区の国際医療福祉大学三田病院で院外処方せんを出してもらって、近くの日本調剤三田薬局でジェネリック医薬品を調剤してもらっている。おかげで血圧は安定、しかもロサルタンのおかげで尿酸値まで下がって、さらにその上自己負担分も下がって1石3鳥だと大満足だ。
 こうしたジェネリック医薬品の不信、不安を専門医も抱えていることが最近分かった。近頃では、ジェネリック医薬品の普及に伴って、医師の専門学会でもジェネリック医薬品がテーマに取り上げられるようになった。こうした専門医のジェネリック医薬品に対する不信・不安を見ていこう。
 2015年6月、浜松市で行われた第9回日本ジェネリック医薬品学会学術集会で、ジェネリック医薬品と先発品のデイベート企画があった。そのとき循環器の専門医に「高血圧治療ガイドラインには、なぜジェネリック医薬品が掲載されていないのか?」を質問したところ、次のような回答が返ってきた。「ジェネリック医薬品はランダム化比較試験による臨床試験(治験)を行っていないので、有効性、安全性のエビデンスがないからだ。エビデンスのない医薬品をガイドラインに掲載することはできない」。たしかにジェネリック医薬品は有効成分が先発品と同一であることから、先発品に課せられている臨床試験は省略してもよいことになっている。
 実はこうした議論は米国では1980年代の中ごろに、盛んに行われた議論でもある。1980年代の前半以前には、米国ではジェネリック医薬品の承認にあたっても臨床試験が課せられていた。これをジェネリック医薬品は先発品と有効成分が同じであることから臨床試験を省き、現在のような簡略承認の道が開かれたのが、1984年のことだ。この年、ジェネリック医薬品の簡略承認と新薬の特許期間の延長を抱き合わせた法律が米国議会を通過する。それが「ハッチ・ワックスマン法」で、法案を提出した二人の上院議員の名前が冠せられている。この法律によって現在のジェネリック医薬品の普及の道筋が開かれ、現在の米国でのジェネリック医薬品市場シェア90%という時代につながる。そして、このジェネリック医薬品の承認方式は今や世界標準になっている。

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