味の素株式会社グループの事業および新規のタンパク質・ペプチド分泌発現系 CORYNEX®の紹介

記事投稿:味の素株式会社

味の素グループの事業展開
味の素グループの事業は、1908年、池田菊苗博士によって昆布だしの味がグルタミン酸(アミノ酸の一種)であることが発見されたことに端を発します。このグルタミン酸を原料としたうま味調味料が「味の素®」であり、1909年に商品化され一般発売がスタートしました。
そして、アミノ酸メーカーとして独創的な製法・利用法の開発を通じて事業領域を拡大し、「食」、「バイオ・ファイン」、「医薬健康」の三つの分野が重なり合いながら幅広い事業を展開しています。





バイオ医薬品周辺領域における事業
味の素株式会社は、アミノ酸事業を起点とした新事業を展開しています。
・医薬用アミノ酸
・タンパク質発現システムCORYNEX®
・培地事業(動物細胞用培地、再生医療用培地)
・バイオロジクスCDMO事業



味の素株式会社バイオファイン事業 タンパク質分泌発現系 CORYNEX®について
新規のタンパク質・ペプチド分泌発現系 CORYNEX®
味の素のCORYNEX®は、グラム陽性菌Corynebacterium glutamicumをホストとして独自に開発された新規のタンパク質・ペプチド分泌発現系です。Corynebacterium glutamicumは毒素やエンドトキシンを産生しない安全な菌であることが確認されており、食品・医薬品用グルタミン酸の生産菌として50年以上にわたり使用されています。

下記のような要望・問題解決のソリューションに。
・新しい発現系を試してみたい
・大腸菌や酵母での発現系で上手くいかなかった
・目的タンパクの発現量を上げたい
・製造コストを削減したい

多数の発現実績とVHHなど低分子抗体や抗体ミメティック生産への高い適応性
CORYNEX®には、各種タンパク質の発現実績がございます。特にVHHやFabといった低分子抗体、抗体ミメティックの発現には非常に適しています。
- VHH抗体とは、ラクダ科動物が保有する重鎖のみでできた抗体の可変領域を切り出したものです。構造がシンプルで扱いやすく、安定性が高いなどの特徴があるため近年注目されています。
- 抗体ミメティックとは、抗体と同様に抗原と特異的に結合することができる低分子タンパク質です。近年、低分子であることから抗原の多くのサイトに結合することができることで注目が集まっており、多くの医薬品開発が進んでおります。CORYNEX®は、様々なタイプの抗体ミメティックの発現実績がございます。




CORYNEX®を用いたタンパク質発現の特徴
ご紹介動画:https://www.ajinomoto.co.jp/corynex/jp/video/index.html 




①高純度かつ活性型での分泌発現
CORYNEX®システムにおいては、異種タンパク質・ペプチドは直接培養液中に分泌発現されるため、菌体の破砕工程は不要です。分泌されたタンパク質は正しい立体構造を保持しているため、リフォールディング等の操作も必要ありません。また、C. glutamicumは宿主由来のタンパク質をほとんど分泌せず、エンドトキシンも産生しないため、非常に高純度のタンパク質・ペプチド溶液を得ることが可能です。

 


<高純度分泌発現>上の図は、各種タンパク質を分泌発現させた場合の培養上清を直接SDS-PAGEで分析した結果を示しています。あたかも精製されたかのように高純度で分泌発現されたタンパク質は、培養液上清のままでアッセイや構造解析等に用いることも可能です。

 


<活性型で発現>上の図は、分子内に3つのS-S結合を持つヒト上皮細胞成長因子(hEGF)を分泌発現させた例を示しています。SDS-PAGEでほぼ単一バンドとして培養液中に分泌発現されたhEGFは、正しいS-S結合を保持した構造を取っていることが確認されました。また、MCF-7細胞に対する増殖活性を測定した結果、市販されているhEGFと同等の細胞増殖活性を示すことが確認されました。

②分泌後の安定性
C. glutamicumには菌体外プロテアーゼ活性がほとんど無いため、分泌されたタンパク質は安定に保持されます。この特長により、安定したプロセス構築が可能となります。
 


上の図は、デキストラナーゼを分泌発現させた例を示しています。培養24時間目までは炭素源(糖)の存在下で培養を行ない、その後96時間目までは糖を枯渇させた状態で培養を継続させました。その結果、培養24時間目までに分泌されたデキストラナーゼは、糖枯渇後も分解されることなく培養液中で安定に存在し続けていることが確認されました。

③複数の分泌経路を活用
従来知られていた分泌経路であるGeneral secretion pathway (Sec系)とは異なる、新しいタンパク質分泌経路Twin-arginine translocation pathway (Tat系)を利用することにより、従来は分泌が困難であったタンパク質の高分泌発現が可能となりました。
 


上の図は、Sec系とTat系における分泌機構の違いを示しています。Sec系では、膜上にあるSec系の分泌装置にある細い穴をタンパク質がほどけた状態で輸送され、細胞外に分泌されてから立体構造を取るのに対して、Tat系では細胞内で立体構造を取ったタンパク質が、立体構造を保持したままで細胞外へと分泌される、という特徴があります。CORYNEX®システムは、こうした異なる分泌経路を利用することにより、異種タンパク質の発現成功確率を向上させることに成功しています。

CORYNEX®システムにおいては、50年以上にわたるアミノ酸生産で培われた味の素㈱の技術を駆使した高密度培養や培養スケールアップ等を活用し、従来の発現系では製造が難しかったタンパク質(バイオ医薬、創薬用途タンパク質、各種酵素など)を効率良く製造することが可能です。


サービスのご紹介



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お客様とともに、「先端バイオ・ファイン技術」で新しい価値を創造する
私たちバイオ・ファイン研究所は、味の素グループの強みである「先端バイオ・ファイン技術」と革新的な人材により、 「顧客起点」と「スペシャリティ化」の取り組みで、新しい価値(お客様価値)を継続的に創造し、世界中の人々の「Eat Well, Live Well.」に貢献します。

<お問い合わせ先>
味の素ヘルシーサプライ株式会社
アミノ酸営業本部営業部 医薬バイオグループ 阿蘇品 愛美
E-mail :manami_asoshina@ajinomoto.com
TEL:03-3563-7577 Mobile:080-8445-4212




 

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