【2016年発行EUのNon-Compliance Report】ASTROM通信<107号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.9.30】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

長雨が続いていますが、いかがお過ごしですか?

さて、今回は、105号で取り上げた、EUのノンコンプライアンスレポート(Non-Compliance Report)の続きを見ていきたいと思います。

ノンコンプライアンスレポートは、製造所の査察において、EU GMPに不適合と判断される不備が見つかった場合に発行されるレポートで、3部構成になっています。
Part1に確認した当局の名前、製造業者の名前、製造所の住所等、Part2にノンコンプライアントな製造オペレーション、Part3にノンコンプライアンスの種類、EUの対策等が書かれています。
査察結果を報告するという点ではウォーニングレターと似ていますが、ウォーニングレターに比べて、指摘の内容があまり詳しくありません。また、不備を、クリティカル(Critical)、メジャー(Major)、その他(Others)に分類して、クリティカルとメジャーが何件あったかを明記しているという特徴があります。

今回は、前回の続きの10件について、Part3部分をみていきたいと思います。

EU-GMP査察ではどのようなことが指摘されるのか、ウォーニングレターとどこが違うのかなどを感じて頂きながら、最後までお付き合いいただければ幸いです。

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Report No.Insp GMP 22917/37149-0007 NCR EudraGMDP#35704
アメリカの製薬会社を英国規制当局が2016/2/26に査察
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■不備
査察において、2つのクリティカルな不備がみつかった。
(1) 同じ製造設備で、共有の装置を使って製造された有害物質と非有害物質の間の交差汚染のリスクを最小化するための組織的及び技術的な手段の不履行
(2) 品質部門による品質システムの有効な運用の確実な実施の不履行
これは、変更管理の全くの不履行、適格性の評価がされていないHPLCの使用許可及び、製造装置の適格性評価の受け入れがたい取り組みを含む。品質調査もまた、品質リスクマネジメントの原則の実施がされていなかった。
3つのメジャーな不備もみつかった。
(1) 特に電子システムから得られる分析データの生成と確認に関する組織的なデータの管理の不履行と、以前のデータの完全性の不具合についての不十分な調査
(2) 滅菌とパイロジェン除去工程の不備
(3) 無菌性保証の要求レベルを満たすための無菌操作の不十分な管理
■対策
・GMP証明の撤回
・出荷済バッチの回収の推奨
・供給禁止
・臨床試験の停止
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35704


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Report No.IT/NCR/API/2/2016 EudraGMDP#35252
インドの製薬会社をイタリア規制当局が2016/3/11に査察
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■不備
24の不備がみつかった。そのうちの5つはメジャーと分類された。
会社の品質マネジメントシステムの弱さや、設備・原材料管理・製造に使用される水の品質・QC試験のようないくつかのGMP分野の取り組みが、GMP適合レベルを維持するのに十分に堅固ではなかったため、発見された不備は、公衆衛生に対する重大なリスクがあることを示した。
5つのメジャーの不備は、次の分野で発見された。
・逸脱管理  ・職員の教育  ・設備  ・最終製品の保管管理
・精製水の製造とモニタリング
■対策
・出荷済バッチの回収(必要であれば実施)
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■その他
・この供給者は、いかなる新しい、または、継続申請も承認されるべきではない。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35252


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Report No.IT/NCR/API/1/2016 EudraGMDP#35251
インドの製薬会社をイタリア規制当局が2016/3/16に査察
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■不備
28の不備が査察官によりあげられ、そのうちの9つは次の分野で”メジャー“と分類された。
品質マネジメント-品質システムにおけるデータの完全性と安全性(1件)、職員(2件)、建造物と設備(1件)、原材料管理(1件)、製造及び工程内管理(1件)、ラボの管理-分析データの完全性と安全性(1件)、バリデーション:装置の適格性評価(1件)、変更管理(1件)
発見した不備の範囲と重大性は、繰り返されるネガティブな査察の結果と相まって、許容できるGMP適合レベルを維持するための能力が会社にないことを示している。
■対策
・出荷済バッチの回収(必要であれば実施)
・供給禁止
・CEP(ヨーロッパ薬局方認証)の停止または取り消し
■その他
・発見された不備は、同じ製造所で製造されたほかの全ての原薬にも当てはまるとみなされる。
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=35251


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Report No.DICM/INSP/MBP-SLA-PAL EudraGMDP#34594
スペインの製薬会社をスペイン規制当局が2016/3/16に査察
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■不備
2016年3月15日~16日に実施された最新の査察で発見された不備は、製造所の品質システムと滅菌の免疫学的製品(無菌工程)に影響を与える。品質、特に、製造された製品の無菌性は保証できない。
この結果と、患者のリスクを防ぐため、Spanish Agency of Medicines and Medical Devices (AEMPS)は、必要な是正/予防処置の実施まで、製造所の最終製品の製造許可を停止することを決定した。
■対策
・製造許可の停止
・この製造所で製造された非経口免疫学的製品の出荷済バッチの回収
■出典
http://eudragmdp.ema.europa.eu/inspections/gmpc/searchGMPNonCompliance.do?ctrl=searchGMPNCResultControlList&action=Drilldown&param=34594

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