【2025年12月】医薬品品質保証こぼれ話 ~旅のエピソードに寄せて~
執筆者の連載をまとめた書籍を発刊「医薬品品質保証のこぼれ話」
第22話:目的意識と問題意識
10月21日(2025年)、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に任命され、当日の記者会見に続き24日の所信表明演説において、心ない一部議員のヤジが飛ぶ中、本内閣の基本方針や目指すところ、また、山積する課題への対応姿勢を力強く表明されました。“政治を安定させ経済を強化し、日本列島を豊にして国民の不安を希望に変える”、という確たる目標、これを実現するための力強い経済政策や外交・安全政策の推進の重要性、などなど、自らの考えを詳しく述べられました。また、これら施策の推進のために連立を組んだ日本維新の会への感謝を述べ、野党に対しては政策の実施に向けての協力を求められました。
今回の所信表明に見られるような、活動や行動の“目的を明確にする”ことは、政治の世界のみならず、企業活動をはじめとするあらゆる活動領域において重要となりますが、同時に、人が有意義に人生を送るためにも極めて大切なことと言えるでしょう。多くの人は日常、無意識に、あるいは意識してこのことに留意し日々の行動を起こしていると考えられます。些細なことから重要なこと、様々な行動を瞬時あるいは計画的にその“目的を意識(目的意識)”し、重要性を判断して行動しているはずです。つまり、おおげさに言えば、“人間はあらゆる行動の目的を意識し、自分の人生に有意義(あるいは有益)かどうかの判断に基づき、優先順位を決めて行動を決定していると言えるのではないでしょうか。
ただ、こういった思考形式や判断・行動のパターンの事情は、仕事をリタイアした人と現役世代では多少異なるでしょう。リタイア組は少しの仕事や趣味の活動などをポディティブに行っている者でも、現役世代に比べると圧倒的に時間的余裕があることから、上記のような、日常行動への“目的意識”はそれほど厳格には働いておらず、多忙を極める子育て中の現役世代などと比べると、そこには大きな違いがあるのではないでしょうか。リタイアして年月を経た人の中には、今日は何をして過ごそうかと暇をもてあます人も少なくないようですが、ただ、そういった方でも、認知症にでもならない限り、行動への目的意識が全くなくなることはないでしょう。
人の“行動”は日常生活に基本的に求められる単純な行為から、業務上のミッションとしての重要な課題の達成に向けての行動まで多岐にわたりますが、重要な課題の場合はそれを推進するために克服すべき様々な問題が生じます。そこで重要となるのが、その課題を達成するために鍵となる問題や障害を見極め、これを意識(問題意識)して課題に取り組み、解決策を考案し、一つひとつ実行していくということになります。日々の生活の基本行動の多くは、潜在意識の中でほぼ無意識下に目的意識が働きますが、業務上の重要課題などを推進する場合は、目的を明確に認識した上に、上記のように“問題意識”にも留意することが大切です。ちなみに、“問題意識”は“観察力”や“気づき”、また、“想像力”といったことにも通じ、社会生活全般において遭遇する様々な局面において求められる重要な概念と言えるでしょう。
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