ラボにおけるERESとCSV【第132回】

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(102)


7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。

■ HHHHH社 2023/11/17
施設:原薬工場

■ Observation 1
品質部門はラボエラーおよびOOS(Out Of Specification)を適切に調査しなかった。
純度試験の規格80.0%~87.0%に対し試験結果が87.6%であったため、OOS#2021-2が2021/10/6に発行された。再サンプリングによる純度試験を行った結果もOOSであった。そのため、このロットを破棄した。

一方、ラボエラー#2021-1の調査において、新しい分析装置による分析値と従前の分析装置による分析値が異なることが判明し、それがラボエラーの原因であると判断された。そのため、新しい分析装置における規格値を82.0~88.0に変更した。しかし、この規格値変更は科学的に正当化されていなかった。また、規格値変更の変更管理も行われていなかった。

★解説
機器を更新した場合、新旧機器の測定/分析値に差がありうる。その場合、品質判定の基準を変更する必要があるが、科学的根拠に基づき変更管理の手順のもと変更し、その記録を残す必要がある。

本指摘事例から以下を読み取ることができる。
1)    新機器導入にともないIQとOQを実施した
2)    しかし、PQが不十分であった

装置や機器を導入した場合、ベンダーの支援等によりIQとOQを実施する。
ベンダーのIQ・OQにおいて以下の確認が行われる。
✓ 設置環境は機器の設置条件を満たしているか(IQ)
(温湿度、振動、空気清浄度、気圧、高度、電源など)
✓ 性能・精度・機能が機器の仕様を満たしているか(OQ)
(ベンダーが準備した標準サンプル等でテスト)

 

 

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