【解説】健康食品GMPの実践的対応ガイド ~紅麹事案を教訓に、医薬品GMPから学ぶ品質保証体制の構築~【第1回】

【第1回】なぜ今、健康食品GMPへの適切な対応が求められるのか

本稿は、Wellness Daily News(https://wellness-news.co.jp/)に寄稿した記事を再編し掲載します。
Wellness Daily News掲載記事(2025.10.22)『健康食品GMP実践的対応ガイド(1)なぜ今、適正製造規範への適切な対応が求められるのか


近年、紅麹(べにこうじ)サプリメントに関連する健康被害問題を受け、健康食品の安全性と信頼性確保が社会的な急務となっています。 この事案を契機として、これまで推奨にとどまっていた機能性表示食品に対するGMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)が、ついに義務化されることになりました。
この大きな規制の変更に対し、多くの事業者の皆様は、日々の業務に追われながら、具体的に何から手をつければよいのか、漠然とした不安を抱えているのではないでしょうか。
本稿では、全9回の連載を通じて、健康食品GMP義務化の背景から、その根拠となる考え方、具体的な管理手法、そして組織としてどのように対応すべきかまでを網羅的に解説します。私自身、京都府や厚生労働省で薬事・食品行政に携わり、医薬品メーカーへの行政処分や査察を経験した視点も交えながら、皆様がGMP対応を単なる「規制遵守」ではなく、自社の品質システムを向上させるための「機会」として捉え、自信を持って対応できるようになるための一助となれば幸いです。

1. 紅麹事案が突き付けた課題
今回のGMP義務化の直接的な引き金となったのは、紅麹サプリメントによる健康被害事案です。 この事案は、健康食品の製造管理における潜在的なリスクを浮き彫りにしました。

  • 意図せぬ汚染のリスク:事案の原因は、紅麹菌の培養段階で意図しないものが混入し、プベルル酸といった予期せぬ有害物質が生成されたことにあるとされています。これは、原材料の管理、特に微生物を用いる製造工程において、厳格な汚染防止対策がいかに重要であるかを示しています。
  • 情報提供の遅れ:健康被害の発生から行政への報告までに時間を要し、被害が拡大したことも大きな問題となりました。 これを受け、今後は医師からの健康被害情報を、事業者が速やかに行政に報告することも義務化されています。
  • GMPの必要性:GMPは、このような意図しない汚染や品質のばらつきを防ぎ、常に安全で一定の品質の製品を製造するための体系的な仕組みです。原料の受け入れから製造工程、品質試験に至るまで、GMPに基づいた厳格な管理が行われていれば、このリスクを低減できたと考えます。

 

 

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