GMP・GQPの変遷と未来を語る【第5回】

※前回内容「GMP・GQPの変遷と未来を語る【第4回】

5. ISO・QMS(品質マネジメントシステム)と医薬品PQS(医薬品品質システム)

田中: 続いて、ISO、特にISO 9001と、医療機器におけるISO 13485、そして医薬品におけるPQS(ICH Q10)についてお伺いします。ICH Q10もISO 9001の基本的な部分を考慮し、PDCAサイクルを回すこと、そして経営陣の責任のもとマネジメントレビューを中心としたマネジメントが重要であるとされていますが、日本ではまだ十分に理解し、実効的にできていない部分があると感じています。

富塚様:「マネジメント」を「管理」と訳してしまったことも影響していると思います。また、ICH Q10はISO 9001がベースになっていますが、あれができた当時のISO 9001から既に2世代ほど改訂されています。

田中:医療機器のISO 13485は9001を踏まえてアップデートし、国内のQMS省令も考慮してアップデートされていますが、医薬品業界のQ10はそういった動きが少ないですね。

富塚様: PIC/S自体もQ10を踏襲しているので、変化が少ないのでしょう。一方で、ISO 9001は認証取得のための標準ですが、実際に運用していく上での指針となるISO 9004というものがあり、そこまでの理解に到達している会社は少ないですね。

田中: ISO 9000シリーズは色々と見た方が、目的も含めて理解が深まりますね。私も富塚さんに言われて勉強しました。

富塚様:さらに、ISOには取り込まれていませんが、JIS(日本産業規格)が独自にJIS Q 9005という規格を作り、それでトータルクオリティコントロール(TQC)をどう展開していくのか、という文書も作成されています。さらにそれの教育や細分化されたものがJISの方で作られています。

そのあたりを見ると、たまに小集団活動を行っている会社でも、「現実どうやっていけばいいのか」と壁に当たって相談されることがあります。そういった時、JISの条文を参考にしてみたらどうですか、と提案することもあります。教育訓練に関しても非常に参考になると思います。

田中: そういった意味でも、皆さんには大変ですが、ISO 9000シリーズを見ていただいた方が良いと思いますし、もちろんやっていく中で理解が広がり、深まりますから、ぜひ見てほしいですね。私も医療機器業界の方々を見ると、そういったQMSのベースがきちんと理解できている方が経営層にいらっしゃいます。経営者もそれをしっかり把握し、実践しようとしています。

医薬品と医療機器のもう一つの違いは、医療機器の場合、エンドユーザーは医師などがメインになる点です。医師や看護師の方々は、積極的に意見を言ってくれます。「こういう風にしてくれ」「こういう風なハンドリングにしてくれ」と。特に改良を含めてアップデートしやすい部分もあります。そういった意見をもらい、それに対してアクションするというサイクルが自然と回っていると感じます。

医薬品の場合、使用者からの情報も不確かなものが多く、「こういうことがありました」という情報があったとしても、それは製造販売後の何らかの要因でそうなっただけで、工場が原因ではない、といったケースもあります。そのため、意見を踏まえてのCAPA(是正措置・予防措置)活動が少なく、逸脱が出たからCAPAをする、といった傾向にあるのかなと感じます。PDCAを回すことに慣れていない、という印象です。PDCAを回す上で、何か大切にした方が良い点はありますか?

 

 

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