製薬企業における社内コミュニケーション促進事例
1.社内コミュニケーション強化に取り組むきっかけ
昨今の製薬・医薬品業界をめぐる製造プロセスや、品質管理に関する不祥事が相次ぎ、医薬品供給不安の解消は長く時間を要する業界全体の課題として挙げられています。また少子高齢化における生産年齢人口の減少やリスキリングによる労働移動、就労環境の変化による人材不足(離職や定着)は、当社においても深刻な課題となっていました。
それに加え、当社に於いては工場の生産キャパシティに関しても課題があります。新工場建設、効率化や少人化を意識した機械設備への投資を進めている一方で、まだまだ人に依存する業務が多く残っており、委託先様からの増産依頼に満額回答できていないことへのジレンマもあります。
これらの状況を踏まえ、工場の生産効率向上は常に取り組むべき課題として存在しておりますが、それに加え社員エンゲージメントの向上を図るべく、風通しの良い職場、品質最優先のお客様視点で判断できる人材育成を目指し、社内コミュニケーション強化に取り組むことに活路を見出しました。
そして、まずは2024年度よりエンゲージメントサーベイを導入することで、社員の現状を定点観測できる仕組みを整えました。サーベイの結果からは「自身が置かれている就労環境に満足しながらも組織への不安感が大きい。」と評価しました。そこから、展開した具体的な取り組みを以下に紹介させていただきます。
2.ベクトル合わせを目指した取り組み
2022年社長交代の折りに、2030年に向けたあるべき姿、なりたい姿を見据えてVision‟S”2030を掲げました。「より多くの人々の健康に奉仕し、そしてより多くの人々に親しんでもらい、社会の役に立つことで、社員や家族が誇りに感じ、イキイキ・わくわくする企業へ成長する。」ことを目的に、6項目で構成する経営基本方針が策定されております。その内容については、全社員が携帯する社員心得帳への記載に加え、2025年4月に「さとやくway」として当社が大切にするPMVV(Purpose、Mission、Vision、Value)と、4つの心(誠実な心、挑戦する心、後人考動の心、感謝報恩の心)をビジュアル化し、社員が同じベクトルの中で判断し、行動できるようにしております。
当社はこれまで、「医薬品の受託製造」を主力事業としてまいりましたが、Vision‟S”2030が出された後は、Vision達成を目指すべく、自社ブランド強化のため一般流通事業や海外展開に注力し始めています。しかしながら、この大きな舵切りと社員の価値観の変化等に、組織として十分に対応できていないのが実情でした。この状況を打開するためには、社内コミュニケーションを強化し、社員が同じベクトルに向けて共通認識を持てるようにすべきだと考えました。
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