製薬業界と品質システムとコンピュータ【第6回】

製薬業界と品質システムとコンピュータ

DI対応の基本、ALCOA+(CCEA)

あけましておめでとうございます。前回の記事から、既に年を越してしまいましたが、引き続きIT屋から見たPQSへの対応を、お話していこうかと思いますので、
よろしくお願いいたします。
ちなみに今年は『寅年』ですね。寅と言えば「神農さん」、大阪の道修町にある少彦名神社が有名です。この記事を書いている時点では未だ行けていないのですが、今年も折を見て御参りと、毎年恒例の御守をいただきに行きたいと考えてます。
置物の寅は増えすぎたので、今年は寅の根付けにしようかなと考えてます。
また、今回で6回目となり、はじめましてではおかしく感じましたので、はじめましてをとり、「製薬業界と品質システムとコンピュータ」のタイトルとして引き続き、解説を行っていきたいと思います。

さて、それでは本題。前回の「DI対応」の続きとして、DI対応を進めていく中で基盤となる『ALCOA+(CCEA)』について、2回に渡ってカンタン解説をやっていきたいと思います。
今回は前半の『ALCOA』について、1つずつ解説していきます。

1.DI(Data Integrity)対応ってナニ?

DIの基本、ALCOA
では、先ずは今回解説するALCOAから。「アルコア」と読むことが多いですね。ただ、これ自体には意味はなく、それぞれの単語の頭文字を取って、ALCOAと呼ばれるようになっています。
「データの完全性」を求められるものがDI対応でした(前回の記事を参照)が、その完全性を証明するために提唱されている要求事項がいくつかあり、それらの頭文字を取ってくるとALCOAとなる、というわけです。
2018年にFDAから出されたDI対応の企業向けガイダンスには、Q&Aの章で『What is “Data integrity”?』(またド直球な質問ですね)への回答として、『ALCOA』の表記が出てきます。(Data Integrity and Compliance With Drug CGMP[https://www.fda.gov/media/119267/download])
で、そのALCOA。以下の5つの頭文字になっています。
    ・Attributable ・・・・・・ 帰属性
    ・Legible ・・・・・・・・ 判読性
    ・Contemporaneous ・・・ 同時性
    ・Original ・・・・・・・・ 原本性
    ・Accurate  ・・・・・・・ 正確性
これらをできるだけカンタンに、実例と併せて紹介していきたいと思います。
特に今回は、少しでも判り易いように、いつにもまして意訳や解釈を多めにしていきますので、是非身近に感じていただければ幸いです。

1.帰属性(Attributable)
 ではまず、先頭の【A】。帰属性のAttributableからです。これからお話しする全てに共通することですが、ALCOAは全てDI対応に関わることなので、この帰属性も“そのデータの”帰属性ということになります。とはいえ、“帰属性”という言葉自体が判り辛いですよね(日本語難しい…)。“帰属”というからには、何かに属しているのか、などと考えがちですが、そこまで難しく考える必要はありません。ようは、「そのデータ(情報)って、誰(何)が言ったものですか?」に答えられるかどうか、です。ダレ(ドコ)発信かどうかをしっかりと証明できるかどうかがポイントとなります。
データの完全性を求めるDI対応ですから、「出所不明の情報」なんて、信用できないですよね。
具体的にどういったものが当てはまるか、と言うと・・・
    ・誰が書いた報告書なのか
    ・どの機械から出てきたデータなのか
といった、情報を発信した人やモノを特定することができるか、となります。
皆さんが日ごろ、報告書や記録書に手書きでサインをしているのも、これに該当します。コンピュータシステムであれば、「記録した担当者」や「その時動いていた機械」
が判るログですね。

意訳:データの「出生証明書」だと思えば判り易いかも?

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