ラボにおけるERESとCSV【第18回】

5. オリジナル記録と完全性保証複製の維持
オリジナル記録とその完全性を保証した複製(完全性保証複製)の維持に対する実践規範を表7に示す。

表7 実践規範(オリジナル記録と完全性保証複製の維持)
オリジナル記録と完全性保証複製の維持
紙記録の場合 電子記録の場合

  オリジナル紙記録および
  その完全性を保証した複製の
  維持管理は以下を含めて行う:
 
 ・アーカイブを含め、紙の記録を管理された安全な保管場所に保管する
 ・GLPガイドラインが求めているように、GxP作業に関与しない人を紙記録保管人に指名
 ・容易に取り出せるように記録にインデクスをつける
 ・アーカイブした紙記録もしくは静的フォーマットの記録を取り出せることを定期的にテスト
 ・オリジナル紙記録が完全複製としてマイクロフィルムやマイクロフィッシュにコピーされている場合、マイクロフィッシュやマイクロフィルムのリーダーのような適切なリーダー機器を用意
 ・必要に応じオリジナル紙記録を完全複製に変換する工程の手順書、訓練、レビュー、監査、自己点検
それらには以下のステップを含める:
1. オリジナル記録のフォーマット、つまり静的フォーマットを維持してオリジナル紙記録のコピーを作成する(例えば、写真やpdf)
2. コピー作成者以外の人がコピーとオリジナル記録を対比し、コピーがオリジナル記録の全ての内容と意味を全て維持しているかを判定する。すなわち、全てのデータとメタデータが含まれており、データ欠落がなく、記録フォーマットが維持されていることが確認される。
3. コピーがオリジナル紙記録の完全複写要件を満たしている場合、コピーがオリジナルの完全複製であることが検証されたことを検証者もしくは技術的な検証工程により記録すること。その検証の記録はコピーに確実にリンクさせておくか、もしくは同等の証明書を提供すること。

 オリジナル電子記録および
 その完全性を保証した複製の
 維持管理は以下を含めて行う:
 
 ・オリジナル電子記録を定期バックアップ
 ・管理された安全な保存エリアに保管
 ・GLP要件の様に、GxP作業には関与しない人を電子記録保管人に指名
 ・容易に取り出せるように記録にインデクスをつける
 ・アーカイブした電子データを保管場所から取り出せることを定期的にテストする
 ・アーカイブした電子データを必要時に見ることが出来るように、ソフトウェア、OSや仮想化環境など、適切なリーダー機器を用意しておく
 ・必要に応じオリジナル電子記録を完全複製に変換する工程の手順書、訓練、レビュー、監査、自己点検
それらには以下のステップを含める:
 ・必要に応じオリジナル紙記録を完全複製に変換する工程の手順書、訓練、レビュー、監査、自己点検
それらには以下のステップを含める:
1. オリジナル記録のフォーマット、つまり動的フォーマット(表8参照)を維持してオリジナル電子データセットのコピーを作成する。(例えば、バリデートされたバックアップ工程により電子データとメタデータ全てのバックアップコピーを作成)
2. バックアップが成功したことを、本人以外の検証者、あるいはハッシュのような技術を使った技術的な検証工程により確認する。これにより、電子バックアップとオリジナル電子データセットとの比較が行われ、複製がオリジナル記録の全ての内容と意味を維持していることが確認される。すなわち、データとメタデータが全て含まれており、データ欠落がなく、動的記録フォーマットが維持されており、バックアップ作業においてファイルが壊れていないことが確認される。
3. コピーがオリジナルの完全複製要件を満たしている場合、コピーがオリジナルの完全複製であることが検証されたことを検証者もしくは技術的な検証工程により記録すること。その検証の記録はコピーに確実にリンクさせておくこと。
 

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