ラボにおけるERESとCSV【第74回】

2021/02/05 施設・設備・エンジニアリング

望月 清

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7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
 
■ LLL社 2019/6/11 483 その1/3
施設:原薬と添加剤


■Observation 1
OOSが発生し再テストを実施したとのことであるが、以下の事項を明示できなかった。
 ・再テストの日にち
 ・再テスト実施者
 ・再テスト結果の確認日
 ・再テスト結果を確認したマネージャ
貴社の手順書によると初回のテストと再テストは別の分析者が実施するようになっているが、2019/6/6に提示された書類からはそのように実施されていることが判らない。

★解説:
繰り返し測定を行い良い結果しか報告していないと、OOS(Out of Specification:規格外)処理を指摘される。既出荷品の品質判定に疑いありということでウォーニングレターになりやすい指摘である。データインテグリティを指摘した500件のFDA 483における指摘項目の件数順位を表74-1に記載するが、「OOS処理、再テストが不適切」との指摘は第3順位である。

この施設には「OOS処理、再テストが不適切」との指摘をされないような再テストの手順書があったようである。しかし、その手順が守られておらず指摘されてしまったと考えられる。

OOS処理不適合との指摘を受けないためには、FDAが2006年に発出した下記のOOS調査ガイダンスに従うのがよい。
Guidance for Industry, Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production, October 2006
業界向けガイダンス:医薬品製造における規格外(OOS)テスト結果の調査(2006年10月)

このガイダンスの前半「フェーズ1 ラボにおける初期調査」に従えば、OOS処理不適合との指摘をラボにおいて受けることはないと考えられる。以下、「フェーズ1 ラボにおける初期調査」の概要を紹介する。

 

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執筆者について

望月 清

経歴 合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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