医薬品開発における非臨床試験から一言【第13回】

非臨床薬物動態試験のパッケージ、試験の時期


非臨床薬物動態試験パッケージに含まれる試験の実施時期は、個々の試験の目的と、申請地域(日本あるいは欧米)の規制要件の違いに関連して異なってきます。もちろん企業のポリシーも大きく関係してきます。そこで、日本で迅速な医薬品開発を行うため、臨床第1相試験(P1試験)の実施地域を指標に、大きく3グループに分けて考え方を示します。まず日本でP1試験を先行するグループ、海外でP1試験を先行するグループ、および海外でP1試験先行した後に日本でP1試験実施するグループになります。また、内資系あるいは外資系企業に分けての方針の違いも考えてみましょう。なお、試験項目数は、承認申請までに実施される累積数が34試験程度であり、一般的にはP1試験前に半数に当たる19試験が実施されているようです。

非標識体を用いた単回投与PK(薬物動態)試験における「用量比例性」は、P1試験の実施地域に関わりなく高い頻度で実施されています。一方、標識体を用いたげっ歯類でのPK試験は内資系企業で実施率が高く、特に、「静脈内投与(IV)」による薬物動態特性の把握は顕著に実施率が高いようです。

「組織分布」についても上記の傾向は同様であり、特に「組織摘出による分布試験」の実施率はP1試験が海外先行のときに低くなります。また、その評価方法について、海外で先行する際には「定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)」の実施が高いことも明らかとなりました。

「蛋白結合」の実施率は、P1試験の実施地域に関わりなく高いようですが、「蛋白同定」の実施率は低く、申請までに適宜実施されると考えられます。一方、「トランスポーター」に関する検討は海外先行の外資系企業でP1試験までに実施されているケースが多く、内資系企業ではP1試験前の取り組みが少ないようですが、最近は試験方法の進歩に伴って徐々に増加しています。

P1試験の実施地域に関わりなく実施率が高かった試験項目に「代謝プロファイル」が挙げられ、いずれの地域でも、「in vivo」よりも「in vitro」での実施率が高いようです。「CYP分子種同定」は、ヒトCYPの「発現系による方法と分子種に特異的な阻害剤」を用いた2つの評価方法で検討されています。海外で先行してP1試験が実施される場合は、「CYP分子種同定」の実施率が明らかに高く、この傾向は、薬物相互作用(DDI)での「酵素阻害」、「酵素誘導」でも同様に認められました。
 

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