エッセイ:エイジング話【第20回】
茶碗を窯から出す
キングカズこと三浦知良(みうらかずよし)氏52歳と10ヶ月は、対サガン鳥栖戦に横浜FCの一員として先発出場し、ヘディングでゴールに絡むシーンが朝6時のTVニュースで放映され、枯れない華麗なエイジングもあることを勇気づけられました。
ゴールへ蹴られたボールに反応するキングカズの動きが、しばらく目に焼きつきました。一瞬の研ぎ澄まされた動きができるのは、たゆまない情熱の継続があるのだろうと観ていました。
小野伸二氏40歳は、キングカズのことを、「とうていなれっこない」と、日曜の朝7時から放映されたTV対談番組で言い切りました。現役が短いプロスポーツの人達にも、彼らには枯れない華麗なエイジングがありました。
サッカーダイジェストWeb編集部2020年8月7日より
さて、焼成工程の途中段階で、1000℃は越えた窯から一機に下界へ出した茶碗は、灰が薄く掛かった状態のまま出され外気で急冷することにより、明るい緑色のシックな風合いに仕上げるのが目論みでした。
この目論みは、これまで窯を焚いてきた成功体験に基づいています。ただ前回焚いた窯でうまくいった作品は、シンプルな形の花入れ(花瓶のこと)だったのです。水平展開は常道ですが、花入れでうまくいったから、今度は、茶碗もできるが失敗する発端だったのです。
薪入れを中断したくない焼成の途中に、おっかなびっくりで躊躇している暇はありません。熱さも感じつつ、あわててしまい茶碗は、取り出しの途中で落とし欠けてしまいました。
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