エッセイ:エイジング話【第19回】

薪窯での茶碗の焼成

 50歳まで現役投手を務められた山本昌氏は、NHK-BS1の番組「レジェンドの目撃者」で現役を長く続けられた秘訣を3つ語りました。1つは武器であるスクリューボールを覚えたこと、2つは理に適った投げやすいフォーム追求を続けたこと、3つは正月も休まない走り込みでした。
 親友で同世代の両リーグホームラン王でもあった山崎武司氏が、45歳のときに「一緒に引退しよう」と言うと、「まだ伸びしろあるよー」と断わったエピソードも披露しました。
 決して剛球タイプでなくとも、たゆまない練習と工夫によりプロ投手寿命を25年も維持されたのです。
 


50歳までの現役投手だった山本昌氏


 薪(まき)を燃料とする窯を、年に一度焚きはじめて25年間になります。誘われた頃は二泊三日間の手伝いのつもりだったのが、あの緋色(スカーレット色)の炎が、窯の中でゆらぐさま・黒煙が煙道のすきまからなびくようす、黒煙の匂いを体験するうちに乗めり込んでゆきました。
 茶碗が窯に入り、出るまでのおよそ半月間、窯焚きは昼夜交代しますが、角と呼ぶ窯の上部から排出する炎と温度計を見つつ、一途に薪をくべ続けるようになりました。

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